HOME >> 実際にあったご相談実例 >> 〈残された遺族の方のための補償制度〉①遺族(補償)年金

実際にあったご相談実例

会社勤めをしていた夫が先日急死しました。悲しみはもちろんですが、子供もまだ中学生ですので、これからどうやって生活していけば良いのか不安で眠れず…
遺族の生活保障制度について教えて下さい。

突然、一家の大黒柱が仕事中に起きた事故で亡くなってしまった・・・

残された家族はどうやって生活していけばいいのでしょうか・・・

 

 

ご相談のお電話をいただいた時、気丈に振舞われていた奥様でしたが、すごくがんばっておられるのが声色からも伝わって参りました。

 

今後の生活に対するご不安、ご心配を少しでも和らげてあげたい、そんな想いで遺族の補償制度についてお話をさせていただきました。

 

 

こういった補償制度についてはぜひ皆様にも知っておいていただきたく、以下ご説明させていただきます。

 

 

 

現在の日本の法律では、お亡くなりになられた状況などに応じて、残されたご家族の生活を補償する制度がいくつかあります。

 

そのうち、遺族(補償)給付という、業務上または通勤により亡くなられた方のご家族を対象とした補償制度についてご説明致します。

 

 

まず、この遺族(補償)給付という制度は「労働者災害補償保険法」という法律に基づいており、この法律では『労災保険』についての決まりごとなどが定められています。

 

 

『労災保険』といえば、仕事中に起きた事故や業務内容に起因する病気に関する保険制度というイメージがあるかと思います。

 

しかし、このように被保険者本人のみでなく、もし当人が亡くなった場合にはそのご家族の生活補償までも網羅してくれるとても手厚い制度になっております。

 

 

その中身としては、遺族(補償)年金と、遺族(補償)一時金の2種類に大きく分けられます。

 

今回は遺族(補償)年金について、[1]誰が、どんな状況のとき[2]どうやって[3]どれぐらい受け取れるのかを詳しくご説明いたします。

 

遺族(補償)一時金についてはこちらの記事をご参照下さい。

 

 

 

【遺族(補償)年金】

 

[1]誰が、どんな状況のときに受け取れるのか?

これにはまず、「1)受給資格がある人」を見つけ、次にその中で「2)もらえる人」の順番を見いだすことが必要となります。

 

 

1)「受給資格がある人」の見つけ方

基本的には、被相続人の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹が受給資格者となります。

しかし、これには、3つの要件があり、これに当てはまらなければなりません。

 

 

①生計維持要件

「労働者(被相続人)の死亡の当時その収入によって生計を維持していた」ことが必要となります。

ここでいう「生計の維持」とは、労働者(被相続人)が主たる収入源である場合に限らず、その収入によって生計の一部を維持されていればよいとされています。

例えば、パート勤務をしていた妻がお亡くなりになられた場合であっても、その夫は自身の収入額に関わらず対象となります。

 

 

②年齢要件

被相続人の死亡の当時の年齢により、受給資格の有無が決まります。

それぞれ下記の通りとなります。

 

(被相続人から見た関係)

夫、父母、祖父母:55歳以上

子、孫:18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある

兄弟姉妹:55歳以上又は18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある

 

年金は毎年支給されますので、夫、父母、祖父母、兄弟姉妹がその後60歳に達したときに、受給資格が発生し、受給権者として順位が繰り上がるのかというと…

 

答えはNOです。

 

いずれも3つの要件は、被相続人の死亡の当時の状況で判断することになっております。

 

 

③障害要件

被相続人の死亡の当時、下記のいずれかに該当する障害の状態にある場合、②に当てはまらなくても受給資格が発生します。

 

a)障害等級第5級以上

b)傷病が治らず、身体機能若しくは精神に、労働が高度の制限を受ける、または高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある

 

例えば、20歳であっても障害等級第3級の子には受給資格が発生します。

 

 

2)「もらえる人」の順番

基本的には、受給資格者のうち、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の最先順位の順番に受給権者となリます。

もし、最先順位が2人以上いた場合は、同順位の人全員が受給権者となります。

 

 

では、上記の要件を踏まえ、下記の例を参考に受給権者を見つけてみましょう。

 

 

例1)

被相続人から見て、夫(57歳)、子A(22歳)、子B(17歳)  ※いずれも障害なし

→受給資格者:子Bのみ 1人

⇨受給権者:子B

 

例2)

被相続人から見て、父(84歳)、子(23歳)、孫(1歳)、弟(48歳/障害等級第4級)

→受給資格者:父、孫、弟の3人

⇨受給権者:父

 

 

具体例を挙げてみましたが、お分かりいただけますでしょうか?

 

 

では、なぜ受給資格者と受給権者、別々に捉えられているのかと申しますと…

 

答えは、「転給」「失権及び失格」という概念があるからです。

 

 

「転給」とは、受給権者がその権利を失うと、次の順位の人に受給権が移ることをいいます。

そして、その権利を失うこと「失権及び失格」といい、下記のいずれかに該当した場合をいいます。

 

☑︎ 死亡したとき

☑︎ 婚姻をしたとき

☑︎ 直系血族または直系姻族以外の者の養子になったとき

☑︎ 離縁によって、被相続人との親族関係が終了したとき

☑︎ 子、孫又は兄弟姉妹において、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき

☑︎ 障害要件がなくなった場合

 

 

また、遺族(補償)年金には「若年停止」という制度もあります。

 

「若年停止」とは、夫、父母、祖父母、兄弟姉妹で受給権者となった時、55歳以上60歳未満だった人は、60歳に達するまで支給が停止されることをいいます。

※受給資格者との違いにご注意ください。

 

 

長々とご説明致しましたが、ご理解いただけましたでしょうか?

相続人の確定とは異なることも見てわかりますね。

 

 

[2]どうやってもらえるのか?

受給権のある人が、本人の名前で請求します。

複数同順位の人がいる場合は、そのうち1人を代表者に選任し、請求と受領を一括して行うこととします。

その請求先は、  所轄の労働基準監督署となります。

その他の請求書、その他必要書類については、所轄の労働基準監督署に事前に問い合わせてみて下さい。

 

 

[3]どれぐらいもらえるのか?

もらえる年金額は、受給権者の人数により決められています。

1人:給付基礎日額×153日分

2人:給付基礎日額×201日分

3人:給付基礎日額×223日分

4人:給付基礎日額×245日分

 

2人以上いる場合は、総支給額を受給権者の数で割った額が、受給権者1人当たりの年金額となります。

(給付基礎日額の算定は個人によって異なりますので、ここでは割愛致します)

 

 

既にお伝えしましたように、こちらの補償を受けるには該当される方がご自身で請求しなければなりません

生活補償のためにも、あらかじめ制度について理解し、申請し忘れた!なんということのないようにしておきましょう。

 

他の補償制度についてはこちらの記事をご参照ください。

 

 

 

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