20のステップで遺産相続手続きの流れがわかる!
はじめて自分が遺産相続手続きをすることになったとき、スタート地点(家族の死亡)がわかっていても、ゴールや道のりがわからないと不安ですよね。
しかし、残念ながら相続手続きは誰一人として同じ道筋をたどりません。
なぜなら、相続ごとに必要となる手続きが異なるからです。
(どんな財産があるのか?相続人は誰なのか?はひとりひとり違うからです)
でも、ご安心ください。
たくさんの手続きを代行してきた私たちだからこそ、目安として「おおよそこのような流れで相続手続きが進む」ということをお伝えすることができます。
この記事では、相続手続きのスタートからゴールまでを、20のステップに分けて、イラストでわかりやすくお伝えします。
ざっくりですが、ご参照ください。
※20のステップの流れや順番はこれに限りませんので、あくまでも一つの流れとしてご参考ください。
ざっくり解説〈相続手続き20のステップ〉
1.相続の開始(相続の発生)
相続は、その人が亡くなった時点で始まります。
「相続の発生」や「相続の開始」と表現されることが多く、ここから相続がスタートします。
〈ポイント〉受け取るもの
病院で亡くなった場合は「死亡診断書」を、それ以外の場所で亡くなった場合は「死体検案書」を医師から受け取ります。
これは死亡届とセットで一つの用紙になっていて、A3用紙の左側が死亡届、右側が死亡診断書(死体検案書)になってます。
〈ポイント〉手配するもの
病院で亡くなった場合は、遺体の引き取りも含めて早急に葬儀社を手配し、遺体を搬送してもらいます。
葬儀の日取り等も決まれば、近親者にも連絡しましょう。
2.通夜・葬儀
喪主を中心に、葬儀社と事前の打ち合わせを経て、通夜及び葬儀を執り行います。
〈ポイント〉準備するもの
葬儀の前に、死亡届を役所に提出します。
(死亡届の提出、書き方について詳しくはこちら)
それと引き換える形で「火葬許可証」を受け取り(請求し)ますが、葬儀当日に必要になりますので、忘れず持参しましょう。
3.役所での手続き
相続が開始した後、死亡届の提出以外に役所でする手続きとしては、
などがあります。
(※亡くなった人の加入状況等によって異なります)
その他福祉手当や児童手当等、該当するものがあるかもしれませんので、一度役所に行って必要な手続きを確認するとよいでしょう。
〈ポイント〉役所でまとめてできること①
今後進めていく遺産相続手続きにおいては、戸籍謄本や印鑑証明書が必要になります。管轄が同じ役所であれば、そのタイミングで一緒に取得しておくと手間が省けます。(→戸籍について詳しくはステップ7を参照)
・戸籍謄本 :本籍地を管轄する役所で取得
・印鑑証明書:住所地を管轄する役所で取得
〈ポイント〉役所でまとめてできること②
急ぎではありませんが、葬祭費の請求も役所でしますので、書類の準備が間に合う場合は併せて手続きしておきましょう。
(※亡くなった人が会社員等の場合を除きます)
詳しくはこちらをご覧ください。
4.年金事務所での手続き
年金事務所での手続きには
- 年金受給権者死亡届の提出
- 遺族年金の請求
- 未支給年金の請求
などがあります。
(※亡くなった人の加入・受給状況等によって変わります)
年金の手続きはとても複雑で、それこそ亡くなった人が年金を収めていたのか・受給していたのか、そして亡くなった人がどのくらい年金を収めていたか、どのような家族構成なのかによっても手続きが変わります。
一度、窓口または電話で必要な手続き・必要な書類を確認してから手続きに行くようにしましょう。
※年金の手続きについては、現在わかりやすい記事を執筆中です!もうしばらくお待ちください。
5.遺言書の有無の確認
遺産相続手続きに入る前に、一度しっかり遺言書があるか・ないかの確認をしましょう。
万が一後から遺言書が見つかると、内容によっては相続手続き自体をやり直すことになってしまうこともあります。
遺言書がある場所としては、自宅内(引き出しの中や金庫の中など)が多く、最近では法務局で保管されていることもあります。
詳しくは以下の記事をご参照ください。
6.検認の申立て(自筆証書遺言の場合)
自筆証書遺言(手書きの遺言書)が見つかった場合は、家庭裁判所で「検認の申立て」をする必要があります。
検認とは、裁判所で行う遺言書の開封手続きのようなもので、検認が終わると裁判所に遺言書のコピーが保管されます。
これにより、遺言書のトラブルの原因になりうる偽造・隠蔽・破棄を防止することができるため、検認は必須とされています。
なお、検認をせずに勝手に遺言書を開封することは厳禁です。
(たとえ封がされていない封筒に入っておらず、中身や文章が見える状態であっても、検認をしなければ手続きでそれを使用することはできません)
検認は、申し立てから完了までに1か月以上かかることも珍しくないため、もし発見した場合は速やかに手続きに着手しましょう。
7.相続手続きに必要な戸籍の収集
ほとんどの相続手続きにおいて、
- 亡くなった人の出生から死亡までの連続した全ての戸籍
- 相続人全員の戸籍(現在戸籍)
が必要です。
(誰が相続人なのか、そして自身がたしかに相続人であることを証明するため)
戸籍はそれぞれの本籍地の役所で取得しますが、窓口でも郵送でも請求が可能です。
(住所地ではないので要注意!)
郵便で請求する場合、郵便の往復にかかる期間も考慮すると、請求してから手元に届くまでに1週間以上かかることも珍しくありません。
さらに、「亡くなった人の出生から死亡までの連続した全ての戸籍」に関しては、例えばA市役所から取得した戸籍の情報をもとに、さらにさかのぼってB市役所に請求、そしてさらにC市役所に請求するといったことも多々あります。
必要な戸籍がそろうまでには想像している以上に時間もかかりますので、漏れのないように、しっかりと準備をしましょう。
誰のどの戸籍を取得すればよいかわからないという場合は、こちらの記事をご参考ください。
>>【戸籍謄本まるわかり】相続手続きに必要な戸籍をケース別に徹底解説(まごころ相続コンシェルジュ)
8.相続人の確定
ステップ7で集めた戸籍を読み解くことで、「だれが相続人なのか」が明確になり、相続人が確定します。
あまり想像できないかもしれませんが、亡くなった人の戸籍をたどっていく中で、全く知らなかった家族の存在が発覚することもあります。
(お手伝いをさせていただいた中で過去何度もそういった状況に遭遇した経験があります)
そのためにも、「相続人は自分たちだけ」と思い込んで手続きを進めようとするのではなく、まずは亡くなった人の戸籍を漏れなく揃えて相続関係を確定させましょう。
9.相続財産の調査(プラスの財産)
亡くなった人の財産を調査し、その価額や必要な手続きを整理していきます。
プラスの財産とは、
- 銀行の預貯金、現金
- 不動産(自宅など)
- 株式や投資信託などの証券
- 車やバイク
- 貴金属や宝飾品、骨とう品
などが挙げられます。
遺品整理をしながら、そうしたヒントを探していきましょう。
10.相続財産の調査(マイナスの財産)
一方、マイナスの財産とは、
- 借金やローン
- 医療費などの未払い金
- クレジットカードなど本来は亡くなった人が支払うべきだったもの
などが挙げられます。
こうしたマイナスの財産も相続の対象ですので、しっかり確認しておきましょう。
〈ポイント〉相続放棄には期限がある
相続財産を洗い出したうえで「相続するか」「放棄するか」決める人もいると思いますが、家庭裁判所で相続放棄をする場合は期限がありますので、先延ばしにせず、早めの財産調査をお勧めします。
11.公共料金の手続き
公共料金(電気・水道・ガスなど)が亡くなった人の名義の契約になっている場合は、名義変更(契約者変更)が必要になります。
誰も引き続きそこに住まない場合は解約の手続きをして、最終の支払いまで済ませておきましょう。
12.通信系及びクレジットカードの手続き
携帯電話やインターネット、クレジットカードなどは、だれもが契約している時代です。
支払い明細などを確認しながら、ひとつずつ手続きを進めましょう。
手続きが漏れてしまうと、基本料金や年会費が請求されてしまうこともあります。
13.準確定申告
準確定申告とは、いわゆる亡くなった人の確定申告です。
亡くなった年の1月1日から死亡日までの収入(所得)を計算し、相続人が本人に代わって申告します。
収入が年金だけの人など申告が不要なケースも多いのですが、必要な場合は死亡を知った日の翌日から4か月以内に申告・納税が必要ですので、期限内に忘れず手続きをしましょう。
14.生命保険の請求・受取
亡くなった人がかけていた生命保険があれば、必要書類をそろえて保険金を請求しましょう。
なお、受取人が指定されている生命保険については、その受取人の固有の財産となりますので、受取人が単独で請求することができ、銀行や不動産など他の相続手続きよりも比較的スムーズに進めることができます。
15.遺産分割協議
「相続人」と「相続財産」の洗い出しができれば、相続人全員で「財産をどのように分けるか」についての話し合い(遺産分割協議)をしましょう。
口頭での合意(納得)では言った・言わないのトラブルになってしまう可能性もありますので、決まった内容をまとめた「遺産分割協議書」の作成も忘れずにしておきましょう。
16.銀行口座の相続手続き
銀行口座の遺産相続手続きでは、戸籍や印鑑証明書などの他に、各銀行所定の書類の提出が必要です。
そこには相続人全員の署名捺印(実印)が必要になりますので、前もって銀行に連絡をして、必要書類を確認してから手続きに行きましょう。
(来店予約も忘れずに!)
17.証券会社の相続手続き
銀行の預貯金の手続きと同じく、戸籍などの他に各社(証券会社等)所定の用紙に相続人全員の署名捺印(実印)が必要です。
一部の手続き先では遺産分割協議書の提出を求められることもあります。
なお、株のまま相続するのではなく、売却して現金化する場合でも、一度相続人名義の口座に移管(名義変更)してから売却しなければなりませんので、必ず相続人名義の口座を準備する必要があります。
最終的に株で相続するのか、現金にして分けるのかを決めてから、必要な手続きを確認して進めるようにしましょう。
>>【初心者でも安心】4つのステップで理解するはじめての株式相続(まごころ相続コンシェルジュ)
18.車・バイクの相続手続き
亡くなった人の車やバイクの手続きは陸運局で行います。
(※軽自動車は軽自動車検査協会、原付は役所など、車種や排気量によって手続き先が異なります)
普通自動車の手続きは遺産分割協議書が必須になりますが、陸運局のホームページからダウンロードできますので、印刷してご活用ください。
売却して現金化する場合も、一度相続人名義に変更する必要があります。
19.不動産の相続手続き
不動産の相続手続き(相続による名義変更)は「相続登記」とも呼ばれ、法務局で行います。
その際、遺言書があったり相続人が一人の場合を除き、原則として遺産分割協議書は必須です。
不動産に関しては様々な分け方、選択肢がありますので、しっかり相続人で話し合って決めましょう。
今後住む予定がなければ売却という選択肢もありますが、その場合も必ず相続人に一旦名義変更をした上で売却することになります。
(亡くなった人→相続人→買主という流れです)
20.相続税の申告
相続税の申告が必要な場合は、相続が開始してから10か月以内に税務署に申告・納税をする必要があります。
ご自身で申告することも不可ではありませんが、正しく申告をするために税理士に依頼されることが多いです。
〈ポイント〉相続税申告の要否を判断する
相続税の申告は、すべての相続が対象ではありません。
基礎控除額を超える財産額があった場合のみ、相続税の申告と納付が必要になります。
- 基礎控除はどうやって計算するのか?
- 何が相続財産なのか?(何が相続財産に含まれるのか?)
などについて、こちらで詳しく解説しています。
ざっくりではありますが、おおよその相続手続きの流れをご紹介しました。
(※もちろん必ずこの順番の通りではなく、それぞれの状況に応じて入れ替えが必要です)
これから相続手続きを進める方にとって、少しでもお役に立てると幸いです。
当センターでは、個々にご紹介したステップのほぼすべての手続きで代行可能です。
- 手続き完了までやりきれる自信がない…
- 手続きする時間が確保できない…
- とにかくめんどくさい!
など、理由はなんであれ、相続手続きの代行をお考えの場合はぜひ一度ご相談ください。
きっとお役に立てると思います!