HOME >> 実際にあったご相談実例 >> 残された家族に迷惑をかけない為に、生前だからできること(死後事務、相続)

実際にあったご相談実例

ガンを患い、長くても1年と宣告されました。子供はおらず、87歳の妻に相続の手続きを任せるのは難しいかと思っております。今まだ私が生きているうちに手続きを依頼しておくことはできますでしょうか?

相続開始「前」のご相談です。

 

まだご自身が存命で、自分自身で物事の判断ができるうちに、残していく家族の為を想って何かできることはないか、と考えた後のご相談とのことでした。

 

家族想いのすごく優しい方ですね。

 

 

まず、結論から申しますと、

 

存命中の手続きの依頼は可能

 

です!

 

 

では、具体的な方法をご紹介させていただきますね。

 

 

 

目次【本記事の内容】

 

 

 

1 存命中にできること

 

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単に「できる」と言ってもいろいろありますが、ここでは残していくご家族に相続手続きの負担をかけないという視点で「できること」を考えます。

 

 

極論を言ってしまいますと、

 

死亡後にしなければならない手続きを存命中にしておくことは、不可

 

です。

 

 

要は、死亡という事実をもって発生する手続きがいわゆる相続手続きですので、死亡という事実が現時点でなければ、そもそも相続手続きというもの自体が存在しないからです。

 

 

死亡後に必要な手続きを思い浮かべてみますと、例えば

 

 

・死亡届の提出

(役所への死亡の届出)

 

・年金受給者死亡届

(年金事務所への死亡の届出)

 

・遺族年金の請求手続き

(遺族が受け取る年金の請求手続き)

 

・後期高齢者医療被保険者証の返却

(いわゆる保険証の返却)

 

・介護保険被保険者証の返却

(介護保険証の返却)

 

 

などなど、役所や年金に関する手続きだけでもまだまだあります。

 

 

 

では、こういった手続きを存命中にできるかというと、

 

 

・死亡届の提出

・年金受給者死亡届

↓↓↓

死亡していないので不可

 

 ・遺族年金の請求手続き

↓↓↓

死亡していないのでそもそも「遺族」ではなく不可

 

・後期高齢者医療被保険者証の返却

・介護保険被保険者証の返却

↓↓↓

存命中に返却すればその後の医療費の支払いなどで困りますよね

 

 

ということになり、やはり出来ません。

(すいません、「できること」をお伝えするつもりが、できないことの列挙になってしまいました)

 

 

 

しかし、視点を変えることで、できることがあります。

 

 

それは、

 

死亡後に発生する手続きを、存命中に依頼しておくこと

 

です。

 

 

先ほども申しましたように、死亡という事実をもって生じる手続きを存命中にすることはできません

 

死亡していない=手続きが発生していない

 

からです。

 

 

しかし、その将来発生する手続きを存命中に依頼しておくことで、いざ発生したときに、その依頼した人に遂行してもらうということは可能です。

 

 

 

言葉で説明すると少しわかりにくいかもしれませんので、例を挙げてご説明しますね。

 

(例)

1カ月先に発売予定のチケットがあります。

もちろん今の時点で購入することはできないので、Aさんは「予約」をしました。

そして発売した時、無事に買うことができました。

 

 

 

イメージは伝わりましたでしょうか?

 

もちろんこの例と死亡後の事務手続きは全く違うのですが、こういうイメージで考えていただくとわかりやすいかと思います。

 

 

 

そしてその具体的な方法ですが、後にご説明致します

 

・死後事務委任契約

・遺言執行者

 

が今回ご説明する方法です。

 

 

 

2 存命中でもできないこと

 

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先ほどの

 

1 存命中にできること

 

の中で出来ない事の列挙をしてしまいましたが、結局は

 

死亡していない=手続きが発生していない

 

ということですので、基本的には全ての相続手続きをすることができないことになります。

 

 

それから、これはご本人の死後の手続きに関することではないのですが、よくある相談事例として、

 

「これから自分が相続人なると想定される場合(例えばお父様が危篤で自分はその子供というケース)、まだお父様の存命中に相続放棄の手続きをすることができるのか」

 

というご相談をいただくことがあります。

 

 

これは不可ですね。

 

詳しくご説明させていただいた事例もございますので、こちらをご参考下さい。

参考:相続開始前の「放棄」は有効?無効?

 

 

少し脱線しましたが、死亡後に発生する手続きを存命中にすることはできないと覚えておいてくださいね。

 

 

 

3 存命中に手続きを依頼する方法

 

今回ご紹介する方法は

 

・死後事務委任契約

・遺言執行者

 

です。

 

 

それぞれの具体的な方法や内容は

 

4 死後事務委任契約

5 遺言執行者

 

の項目の中でご説明致しますが、これらを活用することで存命中に死後の手続きを依頼することが可能になります。

 

 

 

尚、今回は2つの方法を挙げておりますが、どちらも全く同じ内容で方法が違うということではなく、それぞれの方法の中で出来ること(範囲)が異なりますので、死後のどういった手続きを依頼されるのかによって、死後事務委任契約を選択したり、遺言執行者を選択したり、場合によっては両方を選択するということも必要になります。

 

 

 

ここで一点、両方に関して共通することですが、依頼する人(今回のご相談のケースではご主人)が意思能力を有することは必須です。

 

意思能力とは、「法律上の判断において、自己の行為の結果を判断することができる能力」と説明されていますが、要は、自分自身でしっかり判断できる状態かどうかということです。

 

 

これは当たり前のことですよね。

 

モノを買う、いわゆる売買契約においてももちろんですし、契約を結んだり、自分の意見・意思を発信するときに、自分自身が何を言っているのかわからないような状態であれば、それを有効と判断するのは非常に危険です。

 

 

ご高齢の方の場合ですと、認知症や痴呆、アルツハイマーなどがわかりやすい例かと思います。

 

 

 

4 死後事務委任契約

 

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あまり聞きなれない言葉かと思いますが、文字通り

 

死後の事務を委任する契約

 

ということです。

 

 

 

「死後事務委任契約とは、委任者(本人)が第三者(個人、法人を含む。)に対し、亡くなった後の諸手続、葬儀、納骨、埋葬に関する事務等についての代理権を付与して、死後事務を委任する契約をいいます。」

 

引用:松戸公証役場

http://www.matsudo-koshonin.jp/shigojimu/index.html

 

 

 

簡単に言うと、死亡した後の手続きを存命中に依頼し、契約しておくということです。

 

 

まだまだ馴染みのない言葉、聞きなれない言葉かと思いますが、「お独り様」という言葉が認知されてきているように、お独りで最期を迎えるという方も増えてきました。

 

その場合、ご自身の死後の手続き、例えばお葬式などの手配をどうするのかという問題があり、それは病院が代わりにしてくれるわけではありません。

 

ですので、まだご自身で判断ができる内に、事務的な手続きを依頼しておくというのが死後事務委任契約です。

 

 

 

4-1 死後事務委任契約でできること

 

文字通り「死後の事務を委任する契約」だということは、既にお伝え致しました。

 

つまり、この契約は「事務手続き」に関する部分での委任であり、銀行預金や不動産の名義変更といった、いわゆる「遺産相続手続き」を対象としたものではないということです。

 

 

では、具体的にどういった手続きが事務手続きに該当するのか、以下に列挙致しますね。

 

 

 

(1)親族等関係者への連絡事務

 

親族がいないので死後事務を委任するというケースももちろんありますが、親族がいた場合でも体調が悪かったり、体が不自由で動けないということもありますので、そういった方へ死亡を伝えるという事務手続きです。

 

また、親族でなくても友人や知人など、「自分が亡くなったときは伝えて欲しい」という方がいれば、その方にも伝えてもらうことになります。

 

報告の仕方は郵便や電話、直接訪問などいろいろ考えらますので、そのあたりも含めて事前に連絡先等伝えておく必要があります。

 

 

 

(2)通夜、葬儀、告別式、火葬、納骨、埋葬、永代供養に関する事務

 

お通夜、お葬式、火葬、納骨など、お亡くなりになられた後すぐ執り行う手続きです。

 

通常は親族の方などが段取りをして執り行われますが、死後事務委任契約をされる方においては喪主になる人がいない、頼れる人がいない、何かご事情があって頼りたくない、妻(夫)が認知症になってしまっているなど、様々な理由でご依頼されことと思います。

 

お葬式には宗派が関係しますので、お元気なうちにそういったところまで伝えておくことも必要です。

 

また、どういったお葬式にして欲しいのか、遺骨はどのようにして欲しいのか、今は本当に様々な形でのお見送りがありますので、希望はしっかり伝えておきましょう。

 

 

 

(3)医療費、家賃・地代・管理費、老人ホーム等の施設利用料その他一切の債務弁済事務

 

死亡後に届く請求書などの支払いに関する手続きです。

 

例えば病院で最期を迎えられる場合、お亡くなりになられた後に最終の病院代の請求書が届きます。

家賃や地代、老人ホーム等の利用料についても同じですよね。

 

そういった費用については、お亡くなりになる正にその日で清算してから最期を迎えるということは不可能と言えますので、後になって請求書が届くことになります。

 

その支払いをするのがこの事務手続きです。

 

 

 

(4)賃借建物の明渡しに関する事務

 

老人ホームでも集合住宅でも、月々の賃料を支払って生活していた場合は退去の手続きが必要になります。

 

場合によっては原状回復費用の支払い事務が発生することもありますし、部屋を明け渡す際には中にある荷物を処分しなければなりません。

 

賃借建物の明け渡しに伴う様々な事務手続きを行います。

 

 

 

(5)家財道具及び生活用品の処分に関する事務

 

上記(4)でも少し触れましたが、賃借建物の場合は明け渡しの際に必ずこの事務手続きが生じます。

 

賃借建物でなかった場合でも、もちろんご自宅の中にはたくさんの家財道具や生活用品がありますので、いずれにせよ処分などすることになるかと思います。
(その後不動産をどうするかにもよりますが)

 

そういった事務手続きを行います。

 

 

 

(6)ペットの飼育、第三者への飼育委託事務及び譲渡に関する事務

 

ペットを飼っていた場合、その飼い主がいなくなってしまうわけですので、その後のことをしっかり考えてあげなければなりません。

 

引き取り手が決まっているのか、いない場合はどこで引き取り手を見つけてもらうのか、引き取り手が見つかるまでの期間はどこが飼育するのかなど、ペットも生き物ですので、毎日の世話が必要になります。

 

ゆっくり構えているとペットの健康にも影響しますので、素早く対応できるよう、事前に検討しておくことが必要です。

 

 

 

(7)相続財産管理人の選任申立手続に関する事務

 

法定相続人がいない場合には、残った財産を相続する権利を有する人がおらず、その財産の管理や処分の権限を有する人として「相続財産管理人」の申立てをすることになります。

 

申立てから選任までにしばらくの期間がかかりますので、出来るだけ早く行動できるよう、いざ相続が開始する前にしっかり相続関係を調査しておいた方が良いです。

(存命中の相続人調査は「推定相続人」調査と言います)

 

 

当方にご相談をいただく中で何度も目にしたことがありますが、自分には兄弟姉妹がいないと思っていても、ご両親が再婚だった場合、ご両親の前婚時に子供がいれば、半血の兄弟姉妹(お父様かお母様どちらか一方だけ同じ)として法定相続人になります。

 

自分が独身で子供がいない(第一順位の相続人なし)、ご両親や祖父母はすでに他界している(第二順位の相続人なし)、自分は一人っ子(第三順位の相続人なし)と思っていても、そういった形で思いがけない法定相続人が存在する場合があります。

 

ですので、死後事務委任契約を締結する時点で、「推定相続人」の調査は是非しておいた方が良いと思います。

 

 

 

(8)行政官庁等への諸届け事務

 

市町村役場、年金事務所など、基本的な事務手続きの部分になります。

 

一部、手続きをすることで還付金などが生じる場合もありますので、その場合は受け取ることのできる相続人がいるのかどうか、そのあたりもやはり事前の確認が必要かと思います。

 

 

 

(9)各事務に関する費用等の支払い及び敷金・保証金・各種還付金等の受領

 

上記の(8)で還付金の話をしましたが、行政官庁へ届出等手続きをした場合でも、その際に生じる還付金を受け取る権限を有する相続人がいなければ、また少し複雑な手続きをしなければならなくなります。

 

還付金が生じている以上、どうしてもそれを渡さなければならない役所と、それを受け取る権限がない死後事務委任契約の受任者では「渡します」「受け取れません」というやり取りを繰り返すことになってしまいますので、そういった部分まで対応できるようにしておくことが大切です。

 

 

 

以上、かなりたくさんの項目を列挙致しましたが、このあたりの委任事務の範囲については、やはり詳しい専門家と一緒に相談しながら内容を決めていかれるのが良いと思います。

 

項目が漏れてしまった為に手続きができない、依頼していたはずの事務が遂行されない、それではやはり本末転倒ですよね。

 

ご自身がいなくなった後のことを託してご依頼されるわけですので、想いを実現できるよう、しっかり準備をしておくことが大切です。

 

 

 

4-2 死後事務委任契約でできないこと

 

死後事務委任契約をしておけばどんな手続きでも頼めるのかというと、やはりそうではありません。

 

あくまでも「死後の事務手続き」に限定されますので、「相続財産」を処分したり分割したり、いわゆる「遺産相続」に該当するような手続きはできません。

 

 

「死因贈与契約」という別の契約をすることで「お金をあげる」という契約を締結することはできますが、「死後事務委任契約」の範囲外になりますので、やはりこの契約の中では事務手続きに関することに限定されます。

 

 

尚、少し余談ですが、死因贈与契約は当事者間での贈与契約ですので贈与税の対象になりそうですが、実は相続税の対象です。

ご参考まで。

 

 

 

4-3 死後事務委任契約の方法

 

文字通り「契約」ですので、依頼する人、依頼を受ける人、双方の合意があってはじめて成立します。

 

「契約」という意味では口頭でも有効に成立しますが、いざ手続きをしようと思った時に契約の相手方はすでに死亡している状態ですので、その口頭の契約が本当なのかどうか証明することが難しくなり、手続きの相手方(役所等)が受け付けてくれないという可能性は十分にあり得ます

 

そういう意味では書面による契約は必須、さらに確実な方法は公正証書にしておくことですね。

 

 

最近は公証役場のホームページでも死後事務委任契約について紹介しているところが増えています。

それだけ需要が高まってきているということだと思いますね。

 

 

Googleで「死後事務委任契約 公証役場」で調べてみると

 

 

・松戸公証役場

http://www.matsudo-koshonin.jp/shigojimu/index.html

 

・美濃加茂公証役場

https://minokamo-kosyo.com/service/making-preparations/after-the-death-clerical-delegation-contract

 

・東大阪公証役場

http://higashiosaka-kosho.com/shigojimuinin/

 

 

などがすぐに表示されるようです。

基本となる書式を公開している公証役場もあるようですので、どういった文章になるのか、一度ご覧になればイメージもしやすいかと思います。

 

公証役場での具体的な手続きについてはここでは割愛させていただきますね。

 

 

 

「契約」ということで考えるのであれば、委任契約は通常、お互いが存命していることを前提として契約を締結するわけですので、委任者が死亡した時点で終了するのですが、死後事務処理委任契約の場合には契約が終了しないとされています。

 

これは平成4年9月22日の最高裁の判決でも明らかですので、相手のいない(死亡した後)の契約だからといって無効になる心配はありません、ご安心下さい。

 

 

 

5 遺言執行者

 

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遺言書(ゆいごんしょ、いごんしょ)

という言葉は皆さんご存知かと思いますが、

 

遺言執行者(ゆいごんしっこうしゃ、いごんしっこうしゃ)

という言葉は聞いたことがないかもしれませんね。

 

 

文字通り

 

遺言を執行する人

 

です。

 

 

 

遺言書には「妻に全財産を相続させたい」や「不動産は長男に、残りの預金を次男と長女で均等に分けなさい」など、ご自身の財産についての配分などを記載しますが、実際に相続が開始した際、その記載の通りに配分をされたのかどうかはご自身ではわかりません

(相続が開始しているということは、もう既に他界しているということですからね)

 

 

では、仮にその遺言書の内容が相続人の誰かにとって不平等と感じる内容であったり、納得できない内容であった場合、果たしてその相続は遺言書通りにスムーズに進むのでしょうか?

 

 

場合によっては遺言書を破り捨てるなど、感情的になってしまい無茶苦茶なことをされる可能性もゼロではありませんよね。

 

 

 

少し脱線しますが、仮に本当に破り捨ててしまった人がいた場合、

 

 

【民法第891条第5号】

相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者は相続人となることができない

 

【刑法259条】

権利又は義務に関する他人の文書又は電磁的記録を毀棄した者は、5年以下の懲役に処する

 

 

などの罪になります。

どれだけ納得のできない内容であったとしても、まずは感情を抑えて落ち着いて下さいね…

 

 

 

話を戻しまして、このように、せっかく「自分の想い」として残した遺言書なのに、その通りに実現されないという可能性が十分にあります。

 

それは、遺言書通りの手続きを「自分で」することができないからです。

 

 

そこでこの方法、

 

「遺言執行者」を指定しておく

 

のです。

 

 

遺言執行者は遺言書の内容を実現する人として、遺言者ご自身から指定された人ですので、その通りに実現する責務を負います。

 

これなら安心できますよね。

 

 

 

5-1 遺言執行者ができること

 

前述の「死後事務委任契約」では、死後の事務手続きに関することを委任できるとお伝えしました。

 

 

では遺言執行者は何かできるのか、それは「遺言の執行」です。

 

言い換えると、

遺言書に書かれた内容を実現する

ということです。

 

 

ただし、自筆の遺言書では、遺言者が自由に内容を書くことができますので、そこに書かれた全てのことを何でもかんでも実現できるわけではありません

 

あくまでも遺言書の中で「有効」となる部分に関してしか執行はできませんので、その点は勘違いをしないようにお願いします。

 

※ここではどういった内容の遺言書が有効なのか無効なのかについては記載致しません。

 

 

 

通常の遺産相続手続きでは、法定相続人全員で遺産分割協議を行い、その内容を遺産分割協議書にまとめ、相続人全員の実印を押印し、印鑑証明書を添えて諸々の手続きを進めていきます。

 

 

しかし、遺言書があった場合、そもそも遺言書の中で遺産をどのように分けるのかが記載されていますので、遺言執行者は「単独で」その手続きを進めて行くことが可能です。

 

要は、他の法定相続人の特段の協力を得ることなく、多くの手続きができるということです。

(一部の手続きでは委任状などを用意する必要がある場合もあります)

 

 

この場合、相続人全員の実印や印鑑証明書は不要で、遺言執行者の実印と印鑑証明書で手続きを進めることが可能です。

 

これは手続きをスムーズに進める上でも非常に便利ですよね。

 

 

 

例えば法定相続人が10人いた場合、遺産分割の内容に全員が納得していて何もトラブルがなかったとしても、10人全員の実印が押印された遺産分割協議書(またはそれに代わる書類)が手続きを進める上で必要になります。

 

では、その中に実印を持っていない(印鑑登録をしていない)足の不自由なご高齢の方がいたとすれば…

 

 

それでも実印は必須です。

必ず役所で実印登録をしていただき、遺産分割協議書等へ押印をしなければなりません。

 

 

こういった手間が、遺言執行者の指定があれば不要になるということです。

 

全ての相続や遺言書において遺言執行者が必要ではないかもしれませんが、遺言執行者の指定があれば手続きがスムーズに進むことがお分かりいただけたかと思います。

 

 

 

5-2 遺言執行者でもできないこと

 

遺言執行者は「遺言書の内容を実現する人」であるとお伝えしました。

つまり、遺言書に書かれていないことを実行することはできません。

 

また、遺言書に書かれていたとしても、法的に無効であることに関しては実行できません。

 

あくまでも遺言書に書かれていて、且つ、それが法的に有効なものに限り実行することができます。

 

 

 

では、死後の事務に関する部分はどうでしょうか?

 

 

 

遺言書には「付言事項」と言って自由に内容を記載することができる部分もありますので、例えばその中で葬儀や納骨のことを記載することも可能です。

 

 

「葬儀の喪主は次男が務めなさい」と記載した場合、葬儀を執り行うのは次男です。

 

「遺言執行者を長男とする」と記載してあった場合、遺言書の内容を実現するのは長男です。

 

 

長男が次男に「遺言書通り喪主を務めなさい」と強要する…

それもおかしな光景ですよね。

 

 

このように、どうしても遺言執行者の職務として馴染まないものもありますので、遺言執行者を指定しておけば何でも大丈夫ということではありません。

 

 

 

5-3 遺言執行者の指定方法

 

先ほどから遺言執行者を「指定」すると何度もお伝えしておりますが、さて、その「指定」はどのようにするのでしょうか?

 

遺言書を書いた後、それを託し、「この通りに実現してくれ」と口頭で伝えるだけで良いのでしょうか?

 

 

それではダメですよね。

 

 

口頭で良いとするなら、正に“死人に口なし”です。

 

「自分が執行者」ですと名乗れば誰でもなれてしまうわけですので、それは不可です。

 

 

では、どのように指定するのかというと、

 

遺言書の中で指定

 

します!

 

 

 

なるほど!という感じですよね。

 

遺言書を実現する人であれば、その遺言書の中に書くことで、確実に遺言者の意思であることが明らかです。

 

 

遺言執行者の指定は「口頭では不可、遺言書の中に記載する」と覚えておきましょう。

(厳密には不可ではありませんが、信じてもらえないという意味です)

 

 

ここでもう一つ考えてみます。

 

 

遺言書の中に遺言執行者を記載しないまま相続が開始しました。

相続人全員がその遺言書の内容に合意しており、特段トラブルに発展する様子もありません。

しかし運が悪く法定相続人が20人・・・

この場合も相続人全員の実印が必須でしょうか?

 

 

ご安心下さい。

 

遺言執行者の指定は遺言書に記載しますが、その記載がない場合、利害関係人からの申立てにより「遺言執行者を選任」することができます。

 

申立ては管轄の家庭裁判所に対して行います。

 

 

参考:遺言執行者の選任(家庭裁判所)

 

 

申立てができる利害関係人ですが、

・相続人

・遺言者の債権者(お金を貸している人など)

・遺贈を受けた者(法定相続人ではないが、遺言書の中で財産を受け取ることになっている人)

などが該当します。

 

 

誰が遺言執行者になるかは家庭裁判所が判断し、選任しますが、遺言書に記載がなかった場合でも方法はあるということです。

 

 

 

6 存命中に手続きを依頼するメリット

 

さて、死後事務委任契約遺言執行者についてお話してきましたが、存命中に手続きを依頼しておくメリットは何でしょうか?

 

それはもうわかりますよね。

 

 

相続が開始した時点でご自身はいない(他界している)わけです。

 

本当に自分が想っている通りに死後の手続きが進んでいるか、実現されているか、それを確認する方法はもちろんありません。

 

できることは、「そうなるように託す」ということだけです。

 

 

それでも確実にそうなるとは言えないかもしれませんが、出来る限りのことをしておくという意味では、それが一番大きなメリットではないかと思います。

 

 

 

今回のそもそものご相談内容もそうですが、

 

 

ガンを患い、長くても1年と宣告されました。子供はおらず、87歳の妻に相続の手続きを任せるのは難しいかと思っております。今まだ私が生きているうちに手続きを依頼しておくことはできますでしょうか?

 

 

という、残していく方の負担を少しでも減らしたい、迷惑をかけたくない、そういった想いの実現であれば非常に大きなメリットであると言えると思います。

 

 

 

7 存命中に手続きを依頼するデメリット

 

例えば、死後事務委任契約書や遺言書の作成を専門家に依頼した場合は費用がかかります

 

公正証書で作成する場合は公証役場の公証人手数料も必要になります

 

それから、作成した後にやはり気持ちが変わった場合、内容を変更する手間が生じます

 

 

こういったところがわかりやすいデメリットかと思いますが、費用にしても手間にしても、想いの実現や残されたご遺族の負担を減らすという目的と比較した場合、本当に大切なのはどちらなのかということですよね。

 

 

 

あとは、死後事務委任契約は相手あっての契約ですので、それをお願いできる相手がいるかどうか、そういった話をしなければならないという心理的な負担もあるかもしれないですね。

 

遺言執行者は遺言者の意思として単独で記載(指定)が可能ですが、いざ相続が開始した際に何も聞いていなければ指定された人も驚かれるかもしれませんので、やはり指定する人には事前にお話をしておかれた方が良いと思います。

 

 

どちらの方法でも大切な手続きをお願いするわけですので、やはり事前に相手の方にはご相談されることをオススメ致します

 

 

 

8 まとめ

 

残していくご家族やご遺族への負担を少しでも減らす為、死後事務委任契約と遺言執行者の指定という方法をご紹介致しました。

 

どちらの手続きもそれぞれ特性があり、出来ること・出来ないことがありますので、事前にしっかり検討し、場合によっては専門家に相談することも大切かと思います。

 

 

また、

 

存命中だからできる

 

ということと、

 

意思能力があるからできる

 

ということも忘れてはいけません。

 

 

まだ自分は大丈夫!と思っていても、本当にいつ何が起こるかわからないのが人間の体です。

 

 

死後事務委任契約にしても遺言執行者にしても、何度でも内容の変更は可能ですので、まずは一度準備してみましょう。

 

本当にその必要が生じたとき、既に手遅れかもしれません。

 

 

 

 

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