相続人が刑務所に?!それでも相続手続きを進める方法(遺産分割協議書作成)

相続人の1人が刑務所に入っていて、遺産分割協議などができず相続手続きができません。どうしたらよいでしょうか?

  • 相続人の中に、服役中の人がいるときの相続手続きの進め方
  • 服役中の相続人には、実印の代わりに拇印をしてもらうこと

 

相続手続きを進めるには、相続人全員の協力が必要になります。

 

たとえ、相続人の中に刑務所で服役中の人がいたとしても、その人も含めて遺産分割協議等をする必要があります

(正しくは「収容中」と表現しますが、ここではより一般的な「服役中」という表現を使います。)

 

この記事では、服役中の相続人がいる場合の相続手続き(遺産分割協議等)について解説していきます。

 

※特殊なケースであるため、「これが正解というもの」はありません。

ここでお伝えするのは、あくまで一例です。

手続きの際は、必ず収監先の刑務所や手続き先(金融機関や法務局等)にもお問い合わせください。

 

1.相続人に服役中の人がいるときの相続手続きの進め方

多くの場合、(亡くなった人の遺言書等がない限り)相続手続きには遺産分割協議が必要になります。

 

遺産分割協議とは、遺産について相続人全員で話し合うことで、それを書面にしたものが遺産分割協議書です。

 

通常は、遺産分割協議書に相続人全員が署名と実印の押印をします。

そして、押印したハンコが実印であることの証明として、印鑑証明書を添付します。

 

しかし、服役中の人は、(刑務所にいるため)印鑑証明書を取得することが困難です。

(直接役所に取りに行くことが不可能で、そもそも住民登録を抹消されているケースもあります。)

 

では、どのようにして遺産分割協議等の相続手続きを進めていけばよいのでしょうか。

 

手続きの大まかな流れは下記のとおりです。

※あくまで一例です。

 

  1. 服役中の相続人に、手紙や面会などで相続の意思を確認する
  2. 遺産分割協議書などの必要書類を用意する
  3. 服役中の相続人に署名や拇印等をしてもらう
  4. 刑務所長などの(監督者の)証明をもらう
  5. 各相続手続き先に書類を提出する

 

順番に解説していきます。

 

1-1.服役中の相続人に相続の意思を確認する

まずは、刑務所にいる相続人に相続の意思確認をします。

 

可能であれば面会が理想ですが、面会については面会できる人、面会理由等の制限がある場合もあるため、必ず刑務所に確認しましょう。

 

面会ができない場合は、手紙等を送って相続の意思を確認します。

 

服役中の人の手紙は、送付回数に制限があったり、手紙の内容に関して刑務所による検査があったりすることもあるようです。

 

面会や手紙により相続の意思を確認し、本人が「相続する/しない」いずれであっても必要な書類を用意します。

 

1-2.遺産分割協議書などの必要書類を用意する

相続する場合は、遺産分割協議書の準備を進めましょう。

 

(最終的に服役中の相続人にも合意を得る必要があるため、予め協議内容についても知らせておくとよいでしょう。)

 

相続人全員の合意を得て、遺産分割協議書を作成します。

 

遺産分割協議書には相続人全員の署名と捺印が必要です。

当然、服役中の相続人にも署名等をもらう用意をしましょう。

 

1-3.服役中の相続人に署名や拇印等をしてもらう

遺産分割協議書の用意ができると、相続人のいる刑務所に送付します。

この場合、相続人として署名と、実印の押印の代わりに拇印をしてもらいます

 

1-4.刑務所長などの(監督者の)証明をもらう

遺産分割協議書の拇印が、服役中の相続人本人のものであることを証明するために、刑務所長より証明書を発行してもらいます。
(※奥書証明とも言います。)

刑務所長の証明は、服役中の相続人本人から願い出て作成してもらいます。

 

奥書証明とは

奥書証明(おくがきしょうめい)とは、刑務所長の他、知事や市長などの権限のある人が、提出された書類に対して「間違いないことを証明する」という意味で、書面の文末(書の奥)に証明するためこのように呼ばれることもあります。

 

1-5.各相続手続き先に書類を提出する

服役中の相続人から署名と拇印を得て、そのほかの相続人の署名と実印の押印が集まれば、いよいよ遺産分割協議書の完成です。

これをもって、法務局や金融機関等に提出することで、相続手続きを進めることができます。

※あとは通常の相続手続きと同様、戸籍などの必要書類も用意して各相続手続きを進めましょう。

 

2.まとめ

相続人の中に刑務所に服役中の人がいる場合、通常とは違う証明書が必要になります。

 

どういった書類が必要になるかは手続き先によって指定が異なるため、必ず事前に確認するようにしましょう。

 

また、服役中の相続人との連絡は手紙になることが多く、その送付には回数の制限があることが多いです。

通常より時間がかかることを想定して、早めに取り組むようにしましょう。

 

服役中の相続人がいる場合の専門家は、弁護士になります。

このようなケースでお困りの場合は、弁護士にご相談されることをお勧めします。

 

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この記事を執筆した専門家

この記事を執筆した専門家 嶋田 裕志
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

嶋田 裕志

Yuji Shimada

日本行政書士会連合会11260290号
大阪府行政書士会 第6071号
宅地建物取引士 第090938号
Twitter ( )

相続・遺言専門の行政書士として10年を超える実績。年間の相談対応件数は2,000件超え、行政書士の範囲だけでなく、相続税や不動産など相続に関する幅広い知識を持つ。全国各地を飛び回り、孤独死されたご自宅内での遺留品の捜索や不動産の売却のサポートまで対応。新聞、雑誌、WEBメディアなどの取材実績も多数。G1行政書士法人の代表。

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