かんたん説明!これさえ読めば成年後見制度がわかる!

高齢夫婦のふたり暮らしです。妻が認知症です。私はまだまだ元気なつもりですが、最近周囲から物忘れが増えたと言われます。もしものことを考えると不安になり、成年後見制度というものを知って調べてみたのですが、いまいちよくわからず困っています…

 

※できる限りわかりやすく表現していますので、言葉遣いや言い回しが正式でないところもあります、予めご了承ください。

 

成年後見制度とは、精神上の障害(認知症、知的障がい、精神障がい等)により判断能力が不十分な方に不利益が生じないように、家庭裁判所に申立てをして、その方をサポートしてくれる人を選任してもらう制度です。

(もうこの時点で少し難しい言葉が並んでいますが…できる限りわかりやすくこれから説明していきます!)

 

今回は、基本的な成年後見制度の内容、種類、メリット・デメリットなどをご説明させていただきますね。

 

1.成年後見制度とは

私たちは普段の買物から携帯電話の手続き、入院の手続きなど、いろんな「契約」を毎日当たり前に行いながら生活しています。

 

しかし、認知症になってしまうと判断能力が低下し、私たちが普段当たり前に行っている契約を、物事の良し悪しをきちんと理解した上で行うことが難しくなってしまいます

 

そうなると、テレビでもよく取り上げられるような詐欺や悪いセールスマンに騙され、高額な商品を買わされてしまうような事態にも発展しかねません。

 

「成年後見制度」とは、そのような方々が日常生活をする上で、騙されて不当な契約をさせられたり、財産を侵害されたり、人としての尊厳が損なわれることがないように、家庭裁判所によって選任された支援者が、その人の財産を守ったり、その人らしい生活ができるように援助したりする、そんな身近な制度です。

 

2.成年後見制度の種類

成年後見制度は、大きく次の2つに分けられます。

  1. 任意後見制度
  2. 法定後見制度

 

2-1.任意後見制度

任意後見制度とは、まだ本人(自分)が元気で判断ができるうちに、自分の判断能力が低下してきた時に備えて、あらかじめサポートしてくれる人(任意後見人)を誰にするか自分の意思で選び、その人に何をどこまで支援してもらうか、自分で決めておくことができる制度です。

 

この制度のポイントは、自分が元気なうち(判断能力があるうち)に、もしもの時に備えてサポートしてくれる人を選ぶという点です。

 

基本的に、支援できる人であれば誰でも任意後見人になることができるので、配偶者や子ども・孫はもちろん、親しくしていて信頼できる友人など、この先長く自分をサポートしてくれる人として、安心して任せられると思える人にお願いしましょう。

 

【手続きの流れ】

(本人が元気なうちに…)

1 任意後見人、また任意後見人に支援してもらう内容を決めた後、公証役場にて「任意後見契約書」を作成する。

※任意後見契約書とは、誰に何の支援をしてもらうか内容を書いた書類のことです。

(本人の判断能力が低下してきたな…)

2 本人やその配偶者、4親等内の親族や任意後見人に選ばれた者から、家庭裁判所に申し立てをする。

3 家庭裁判所は、必要に応じて審問・調査・聴取(本人の判断能力について医師に意見を聞いたりする)などの手続きを行う。

4 家庭裁判所が、「任意後見監督人(※)」を選任する。

5 任意後見人としてサポート開始!

 

※「任意後見監督人」とは??

任意後見人が、本人が作成した任意後見契約の内容に従ってきちんと仕事を行っているかどうか、任意後見人を監視する人のことです。

いくら任意後見人が本人から信頼して任されたからといっても、万が一に備え、任意後見人が好き勝手しないように本人を守る役目を果たします。

任意後見監督人には、基本的に、弁護士、司法書士、社会福祉士などといった第三者専門職の中から本人の意思をふまえて選任されます。

 

2-2.法定後見制度

法定後見制度とは、認知症などによって判断能力が低下してしまった方に、「家庭裁判所」が適切にサポートする人(法定後見人)を選任し、本人の判断能力の程度に応じてお手伝いする制度です。

 

この制度のポイントは、認知症などによって実際に判断能力が不十分になった「後」に家庭裁判所が法定後見人を決めるという点です。

 

本人の意思も汲み取りますが、すでに判断能力が低下していることや様々な状況を考慮して選任されるので、ある日突然、知らない人が自分の後見人になることもあり得ます。

 

2-3.法定後見制度3つの類型

ここでは、①後見、②保佐、③補助 について解説します。

 

【①後見】

後見は、「判断能力が欠けているのが通常の状態の方」、つまり、日常生活を1人で送ることが難しいほど、物事を判断する力がないと判断された場合に活用できる制度です。

後見が適用される場合、本人の代理人として「成年後見人」が家庭裁判所から選ばれます。

簡単にいうと成年後見人とは、「自分で判断することができない人の保護者」です。

(※表現に語弊があるかもしれませんが、イメージとしてわかりやすい言葉を使っています、ご了承ください)

 

例えば、小さな子どもを思い浮かべてください。

小さな子どもは物事についてまだ自分で十分に判断する力はなく、銀行口座の開設など重要な手続きは親が保護者として代わりに行いますよね。

成年後見人は、この保護者に近いイメージで、成年後見人に選ばれ得た人は判断能力が減少した本人に代わって財産を守っていきます。

 

成年後見人は次の2つの権限が与えられています。

  • 代理権

財産に関する全ての法律行為を代理することが可能

(本人自身は契約などの法律行為ができなくなります)

  • 取消権

日常生活に関する行為以外は取り消すことが可能

 

【②保佐】

保佐は「判断能力が著しく不十分な方」、つまり、決まった日常生活を1人で送ることはできるが、重要な法律行為を行うには不安であると判断された場合に活用できる制度です。

保佐が適用された場合の代理人は「保佐人」と呼ばれます。

 

日常生活のことについては本人が自分で判断しますが、重要な契約など慎重な判断が必要な場面では、保佐人が判断を行います。

保佐人は次の2つの権限が与えられています。

  • 同意権

民法13条1項で定められた行為は保佐人の同意が必要

  • 取消権

保佐人の同意を得ずにした民法13条1項で定められた行為は取り消すことが可能

※それ以外にも家庭裁判所に認められた行為に関しては代理権が与えられることもあります。

<民法13条1項の内容>

1 貸したお金の返済を受けること

2 借金をしたり、保証人になること

3 不動産などの高額な財産を手に入れたり、手放したりすること

4 民事裁判をすること

5 贈与をしたり、和解・仲裁の合意をすること

6 相続の承認や放棄、遺産分割をすること

7 贈与や遺贈を断ったり、不利な条件の贈与や遺贈を受けること

8 新築・改築・増築や大きな修繕を行うこと

9 一定の期間を超える賃貸借をすること

 

【③補助】

補助は「判断能力が不十分な方」、つまり、基本的に1人でなんでもできるが、法律行為を行うにおいて自分自身に不安を感じる場合に活用できる制度です。

補助が適用された時の代理人は「補助人」と呼ばれます。

 

補助人が持つ権利は、次の2つです。

  • 同意権

民法13条1項の中から必要と認められた行為に関してのみ同意が必要

  • 取消権

民法13条1項の中から必要と認められた行為に関してのみ取り消すことが可能

それ以外にも家庭裁判所に認められた行為に関しては代理権が与えられることもあります。

民法13条1項の内容については前述の②保佐をご確認ください)

 

 

【手続きの流れ】

1 本人やその配偶者、4親等内の親族、検察官などから、家庭裁判所に家庭裁判所に申し立てをする。

2 家庭裁判所は、必要に応じて審問・調査・聴取(本人の判断能力について医師に意見を聞いたりする)などの手続きを行う。

3 家庭裁判所が、様々なことを考慮して支援内容を決定する。

4 法定後見人として、3つの類型のうち本人の程度にあったサポート役(成年後見人、保佐人、補助人)を選任

5 法定後見人としてサポート開始!

 

※法定後見人には、本人や家族の生活状況や財産状況、人間関係などを総合的に考慮し、適任だと思われる人が選ばれます(申立ての時点で候補者を立てることは可能)

 

※基本的に、手続きの流れは後見・保佐・補助の3つとも同じです。

 

3.成年後見制度のメリット・デメリット

3-1.成年後見制度のメリット

成年後見制度には大きなメリットが3つあります。

 

1 自分らしい生活を送ることができる

本人の判断能力が低下した後でも、財産を守ってもらったり生活する上で必要な手続きをしてもらうなど成年後見人のサポートを受けることで、自分らしい生活を送ることができる。

 

2 任意後見なら予め自分で決めることができる

任意後見制度は、あらかじめ自分が信用している人に後見人をお願いすることができ、自分が元気なうちに何を支援してもらうかを決めることができる

 

3 トラブルから身を守ることができる

詐欺や悪徳商法によって不利な契約をしてしまっても取り消すことができるため、様々なトラブルから本人を守ることができる

 

3-2.成年後見制度のデメリット

成年後見制度にはデメリットもあります。

 

1 特定の職業などに就けなくなる

判断能力が低下していると判断される制度のため、会社の役員や弁護士、医師といった責任ある立場に就くことができなくなる。

 

2 財産管理が厳格

家庭裁判所が財産管理に関与するので、家族であっても簡単に本人の財産に手をつけることができなくなる。

(それを目的とした制度ですので当然と言えば当然のことですが)

 

3 後見人等に対して報酬が発生する

弁護士等の専門職が選任された場合、職務として請け負いますので、そこに対して報酬が発生することになります。

 

また、成年後見制度は原則として一度開始すると本人が死亡するまで継続するため、報酬を支払い続けることになります。

 

4.まとめ

  • 成年後見制度には、元気なうちに自分でサポートしてくれる人や支援内容を決める「任意後見制度」と、判断能力が低下した後に家庭裁判所によってサポートしてくれる人が選任される「法定後見制度」がある。
  • 「任意後見制度」は本人がした不利な契約を取り消せないが、「法定後見制度」は取り消すことができる。(取消権の有無)
  • 「法定後見制度」には、本人の判断力の程度によって、「後見」「保佐」「補助」の3種類に分けられる。
  • 成年後見制度の利用を始めてしまうと原則途中でやめることができないので、メリット・デメリットを十分に理解した上で慎重に選択することが大切。

 

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