- 相続税の申告には時効があり、原則5年・不正行為がある場合は7年(申告期限の翌日から起算)
- 申告しないままでいると、延滞税・加算税などの重いペナルティが課せられ、かえって多くの税金がかかる
- 期限を過ぎていても、気づいた時点で速やかに申告することが重要
相続税の申告には、「時効」があります。
しかし時効があるからといって、時効が来るまで相続税の申告をしないでいると、重いペナルティが課せられ、かえって多くの税金がかかることがあります。
当センターにもよく「期限が過ぎてしまったのですが、今からでも相続税の申告はしたほうがいいですか?」といった相談を受けます。
答えはもちろんイエスで、期限が過ぎていても気付いた時点で相続税の申告をしたほうがよいでしょう。
というのも、相続税の税務調査は、申告された案件のうちおよそ※5人に1人の割合で行われているといわれており、無申告のまま時効を迎えることは現実的に困難だからです。
▶出典:国税庁「令和5事務年度における相続税の調査等の状況」
また、税務署に指摘されてから申告した場合は、最大で40%もの重加算税が課せられるケースもあり、負担はかなり大きなものになります。
このページでは「申告しないでいるとどうなるのか」について詳しく解説していきます。
目次【本ページの内容】
1. 相続税の申告の時効とは(5年または7年)
そもそも相続税の申告期限とは、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」と決められています。
(ただし、期限が土曜日、日曜日、祝日などにあたるときは、その翌日が期限となります。)
この期限を過ぎてしまうと、税務署から延滞税や無申告加算税などのペナルティを受ける可能性があります。
ただ、税務署がこのペナルティを課せる期間には制限があります。
それが相続税の時効で、原則5年です。
しかし、偽りその他不正の行為があれば7年に延長されます。
つまり時効は、「相続税の申告の期限を過ぎた翌日から」起算し、5年または7年ということになります。
具体例を挙げると、
- 死亡日:2026年1月15日
- 相続税の申告期限:2026年11月15日
の場合、時効は
- 原則(5年)の場合:2031年11月15日に時効成立
- 不正行為あり(7年)の場合:2033年11月15日に時効成立
ということになります。

2. 申告期限を過ぎたら課せられるペナルティ
相続税の申告が必要だったのに、
- 必要と知らずに申告しなかった
- 必要と知っていて、わざと申告しなかった(免れたかった)
いずれであっても、時効までの間に税務署が発覚した場合は、ペナルティの対象になります。
ペナルティの種類は、
- 期限にかかわる「延滞税」
- 申告しなかったり、少なく申告するなど、不足があるときにかかわる「加算税」
の2つがあります。
状況に応じて、それぞれの税が合計で課せられます。
それぞれどのようなペナルティなのか、解説していきます。

2-1. 延滞税とは
延滞税とは期限を過ぎたことに対するペナルティです。
期限の翌日から納付した日までの日数に応じて、不足税額に対してかかります。
さらに、2か月以上期限を過ぎると、延滞税率が4倍近く増えます。

2-2.加算税とは(無申告加算税・過少申告加算税・重加算税)
加算税とは、不足税額があったことに対するペナルティです。
その理由や状況により、3つの種類があります。
①無申告加算税
申告期限までに申告をしなかった場合(意図的でない場合)
②過少申告加算税
本来の税額よりも少なく申告をした場合(意図的でない場合)
③重加算税
書類の改ざんや隠蔽など、意図的に所得を減らす行為をすることで、正しい申告をしなかった場合
それぞれのペナルティである加算税の割合は、「意図的であるかどうか」「どのタイミングでわかったのか」によって変わります。
どういうことかというと、例えば
- 申告したタイミングが、 税務署からの税務調査通知前か後か
- 税務署の調査通知後の場合、税務署が調査して把握する前に申告すべきことに気づいたかどうか
といった具合です。
特に、重加算税は悪質な場合に課せられるペナルティです。
無申告加算税(最大30%※)・過少申告加算税(最大15%)に対し、重加算税の割合は35〜40%にもなります。
(※2023年度の税制改正により、300万円超の無申告部分については30%に引き上げられました。)
具体的にどういった状況で課されるというと、
- 期限内に申告をしていて隠蔽・仮装があった場合は35%
- そもそも無申告のうえで隠蔽・仮装があった場合は40%
となります。
さらに、過去5年以内に無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合は、上記の税率にさらに10%が上乗せされます。
最終的なペナルティは、延滞税と加算税の合計になります。
(具体例)本来1,000万円の相続税を無申告のまま放置し、5年後に税務調査で発覚した場合
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 本来の相続税 | 1,000万円 |
| 無申告加算税15〜30%(段階課税) | 約267万円 |
| 延滞税 | 約90万円 |
| 追加で支払う総額 | 約357万円 |
※延滞税率はその年により変動するため、実際の金額は異なります。
※延滞税は、相続税の特例により「申告期限から1年分」のみを計算対象とした概算です。
なお、隠蔽・仮装があったと判断された場合は、無申告加算税に代えて重加算税(40%)が課されるうえ、延滞税の特例も適用されず5年分フルで計算されるため、負担はさらに重くなります。
そして、そもそも不足していた相続税も当然支払わないといけませんので、負担感はかなり大きなものとなります。
そうならないためにも、申告が必要とわかったときに、必ず申告をするようにしましょう。
3. まとめ
相続税の申告には時効があり、原則5年、状況によっては7年と決められています。
相続税の申告について、
- 必要かどうかよくわからない
- うっかり申告期限を過ぎてしまった
- 申告期限後に発覚した財産があり、相続税申告の必要があった
等々、様々な声を聞きますが、申告期限後、時効までの間にペナルティを課せられる可能性は大いにあります。
隠すようなことはせず、わかった時点で必ず申告しましょう。










