HOME >> 実際にあったご相談実例 >> 故人名義のままの不動産。固定資産税は誰が払うの?

実際にあったご相談実例

市役所から祖父名義の土地の固定資産税の納付書が孫の私宛に届きました。昨年までは亡くなった父が払っていたようです。
私は父の相続人にはなりますが、まだ遺産分割協議がまとまっておらず土地を相続していません(というか、そもそも祖父名義のままです)。
この固定資産税は誰が支払わなければいけないのでしょうか。

不動産に関する相続のお手続きは、相続税申告のように期限がありません。

なので、ずっと名義変更をしないまま住んでいるというご家族もたくさんおられます。

ただ、だからといってお手続きを先延ばしにしておくと今回のご相談のような問題に直面することになってしまいます。

(今回のようなご相談どころではなく、とんでもなく大変な問題になってしまうこともありますのでご注意下さい)

 

 

まず結論から申しますと、遺産分割協議の前、つまり相続手続き完了前の状況では、相続人全員に納税の義務が発生していることになります。

 

そもそも固定資産税とは、土地・家屋・償却資産に対してかけられる税金のことであり、その納税義務者は毎年1月1日現在の所有者です。

ただし、1月1日より前に所有者として登記されている人が亡くなられている場合などには、1月1日現在でその固定資産を現に所有している人が納税義務者になります。

 

 

▼▼参考条文▼▼

 

〇地方税法第343条(固定資産税の納税義務者等)

固定資産税は、固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする。以下固定資産税について同様とする。)に課する。

(第1項)
前項の所有者とは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者(区分所有に係る家屋については、当該家屋に係る建物の区分所有等に関する法律第二条第二項 の区分所有者とする。以下固定資産税について同様とする。)として登記又は登録されている者をいう。この場合において、所有者として登記又は登録されている個人が賦課期日前に死亡しているとき、若しくは所有者として登記又は登録されている法人が同日前に消滅しているとき、又は所有者として登記されている第三百四十八条第一項の者が同日前に所有者でなくなつているときは、同日において当該土地又は家屋を現に所有している者をいうものとする。

 

〇地方税法第359条第1項(固定資産税の賦課期日)

固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の一月一日とする。

 

▲▲▲▲

 

 

したがって、その所有者が死亡した後相続手続きをせずそのままにしておきますと、翌年の課税の際には死亡した所有者に対して課税されることになってしまいますが、当然ながら税金を納めることはできません。

また、先程も申しましたように、死亡された方の所有していた資産は、相続手続きが済むまでの間は相続人全員の共有状態におかれます。

そこで、相続人の中で代表者を指定する手続きを行い、「代表相続人」として納税通知書等を受領することになります。

 

この「代表相続人」ですが、相続発生後、役所の固定資産税担当課(資産税課)に「代表相続人届」というものを提出することによって決まりますので、今回のご相談の場合はおそらく身内のどなたかがこの届出をされたのだと予想されます。

ただし、「代表相続人」となったからといって、納税上の全負担を負う、その方が1人で土地・家屋を相続したということにはならず、あくまでも固定資産税を支払う上での便宜上の代表者という認識です。

このことは下記の条文からも読み取れます。

 

 

▼▼参考条文▼▼

 

〇地方税法第9条、第9条の2 (相続による納税義務の承継)

相続(包括遺贈を含む。以下本章において同じ。)があつた場合には、その相続人(包括受遺者を含む。以下本章において同じ。)又は民法(明治29年法律第89号)第951条の法人は、被相続人(包括遣贈者を含む。以下本章において同じ。)に課されるべき、又は被相続人が納付し、若しくは納入すべき地方団体の徴収金(以下本章において「被相続人の地方団体の徴収金」という。)を納付し、又は納入しなければならない。ただし、限定承認をした相続人は、相続によつて得た財産を限度とする。

2 前項の場合において、相続人が2人以上あるときは、各相続人は、被相続人の地方団体の徴収金を民法第900条から第902条までの規定によるその相続分によりあん分して計算した額を納付し、又は納入しなければならない。

 

▲▲▲▲

 

 

よって今回のご相談者様はあくまでも「代表相続人」であって、全額を支払わなければならないというわけではありません。

また、固定資産税を支払ったからといって、その不動産を相続する権利が発生するわけではありませんのでご注意ください。

 

 

では、

「相続人のうちのどなたかが代表相続人として納付書を受け取って支払い(個人的なお財布から支払われることになるかもしれませんが)、納税後に遺産分割の内容が決まり、その方(固定資産税を払った方)が実際は不動産を相続しないことになったと仮定」

します。

 

この場合、先に支払った固定資産税は返してもらえるのかという問題が起こってくるかと思います。

こちらに関しては、清算可能です、どうぞご安心下さい。

 

 

ではなぜ既に支払った税金を精算できるのか、理由はこうです。

 

遺産分割協議によって不動産を相続する人が決まれば、不動産の所有者は当然ながらその人になり、その人が固定資産税を納める義務を負うことになります。

つまり、固定資産税の請求先は「故人あるいは代表相続人」から「不動産を相続した人」になります

 

そして、遺産を相続する(した)事実の発生時点は、被相続人の死亡した時点となりますので、相続した人の納税の義務は、被相続人の死亡日時点に遡ることになるのです!

 

 

今回のご相談者に上記をお伝えすると、まずは不動産の相続人となる叔父様と妹様と話し合いをされ、まずは一旦納付期限までにお支払いをされることになったようです。

後から精算することができるとわかり、きっと安心されたんでしょうね。

 

 

自分は相続しないから無視でいいや・・・と納税通知書を放っておき、定められた納付期限を過ぎてしまうと「延滞金」というペナルティが発生することがあります。

不動産によっては固定資産税も高額になる場合もあります。

相続が発生した時点、また納税通知書が届いた時点で相続人の皆様で速やかに話し合いをするようにしましょう。

仕事や距離の関係で話し合いがなかなか出来ず、とりあえず自分が固定資産税を立替えて支払うという場合は、領収書をきちんと保管しておくことも忘れずに。

 

 

相続手続きのご相談の中で、

「不動産は手続き期限がないのでもう少し経ってから考えます」

「不動産の手続きはあとからでもいいですよね」

という声をよくいただきます。

 

では、先延ばしにするメリットは何でしょうか?

何かメリットはありますでしょうか?

あるとすれば今回のようなデメリットのみです。

期限のないお手続きであっても、後回しにするメリットはないのです。

 

 

今回のご相談のようにお爺様の相続人であったお父様が亡くなられ、お爺様の相続関係が変わった(いわゆる数次相続)場合、今まで全然連絡と取っていなかった親族と相続の話をする必要が生じ、より遺産分割協議に時間がかかったり、手続きの際に必要となる戸籍謄本等が増えたり、思ってもいなかったトラブルに発展してしまうリスクもあります

 

もしかすると、気付いていないだけでそういった不動産が身の回りにあるかもしれませんので、相続手続きをする際には名義変更をしていない不動産がないか、固定資産税評価証明書や名寄帳、登記簿謄本などで確認してみることをお勧めします。

(これらの書類は不動産のある市町村区役所の税関係の窓口や法務局等で取得することができますよ)

 

 

万が一そういった不動産が見つかった場合、戸籍の収集、遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更等多くのお手続きが必要となります。

故人名義のままの不動産をがある、または新たに発見した場合は当センターまでお気軽にご相談ください。

相続のお手続き全般を得意とする行政書士、相続登記を専門とする司法書士等が迅速にご対応致します。

 
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