不動産の相続手続き完全マニュアル|相続登記の流れと9つの必要書類

不動産を相続することになりました。相続登記(名義変更)をするにあたって必要な書類を教えてください。

  • 相続登記の全体的な流れ
  • 相続登記における9つの必要書類
  • 不動産の相続には遺産分割協議、遺言、法定相続の方法がある

 

ここでは、相続登記(不動産の相続手続き)の全体的な流れと、相続登記をする際に必要な9つの書類を分かりやすく解説していきます。

 

不動産の相続登記については法改正が予定されており、相続発生後の名義変更が義務化されることになります。(20244月施行予定)

義務化されるということは、名義変更を怠れば罰則を伴うということですので、相続が発生した場合はなるべく早めに手続きを進めていきましょう。

 

いざという時のためにも、相続登記の理解にお役立てください。

 

1.相続登記とは(不動産の相続手続き)

相続登記とは、不動産の名義を亡くなった人から相続する人の名義に変更する手続きのことです

(正確には「相続による所有権移転登記」といいます。)

 

手続き先は、不動産がある管轄の法務局です。

戸籍謄本や印鑑証明書などの必要書類を用意し、登記申請書とともに法務局に提出します。

(管轄の法務局が不明な場合はこちら:法務局HP

 

ご自身で申請する場合、法務局に直接書類を持参する方法オンライン申請がありますが、書類も多く不慣れな手続きでもあるため、一般的には司法書士に依頼されることが多いです

(ご自身でオンライン申請をする場合はこちら:登記・供託オンライン申請システム

 

相続登記の主な流れは下記のとおりです。

  1. 相続人の確定
    戸籍などを集めて相続人を確定します(戸籍は法務局にも提出します)

  2. 遺産分割協議
    相続人全員で話し合い、誰が不動産を引継ぐか決めます

  3. 遺産分割協議書を作成
    遺産分割協議で決まった内容を書面にまとめ、相続人全員が署名捺印します

  4. 登記申請
    不動産を引継ぐ人が、必要書類を持って法務局に申請します

 

遺産分割協議によって誰が不動産を引き継ぐかが決まれば、その人が法務局で手続きすることになります。

(そもそも相続人が1人しかいない場合は当然その人が手続きをします)

 

相続登記の流れ

 

1-1.相続登記は遺産分割協議をして手続きするのが一般的

不動産の相続登記で一般的な手続き方法は、遺産分割協議をして相続登記する方法です。

 

遺産分割協議とは、相続人全員で、被相続人(亡くなった人)の財産について「誰が」「どの財産を」「どれだけ」受け取るか話し合うことです。

 

具体的には、不動産の場合は「不動産の名義を誰にするか(誰が不動産を取得するのか)」を話し合って決めます。

そして話し合った内容を書面(遺産分割協議書)にして、相続人全員が署名をして実印を押印します。

 

※相続人が1人の場合は、遺産分割協議は不要です。

※遺言書があり、その中で不動産を取得する人が指定されている場合も、遺産分割協議は不要です。

 

※遺産分割協議以外の相続登記の方法については、3章でご紹介しています。

・3-1章:遺言で相続登記する方法
・3-2章:法定相続分で相続登記する方法

 

2.相続登記に必要な9つの書類

不動産を取得する人が決まると、必要書類を揃えて法務局に申請します。

 

相続登記に必要な基本的な書類は、下記の9つです。

(※ここでは、遺産分割協議をした場合の必要書類をご紹介します。)

 

  1. 登記申請書
  2. 遺産分割協議書
  3. 戸籍謄本
  4. 住民票
  5. 印鑑証明書
  6. 固定資産税納税通知書
  7. 相続関係説明図
  8. 収入印紙
  9. 登録免許税印紙納付台紙

以下、それぞれについてもう少し詳しくご説明します。

 

2-1.登記申請書

様式については、法務局のHPよりダウンロードが可能です。

不動産登記の申請書様式について:法務局HP(サイト内の「所有権移転登記申請書」)

※注意点※
申請書が複数枚になる場合には、各ページへ割印をしましょう。

 

記入にあたって、4点補足します。

  1. 相続人(申請人)
    誰が不動産を取得するのか記入します。
    (遺産分割協議により決定した不動産を取得する人の住所や氏名を記入します)

  2. 課税価格
    不動産の金額を記入します。
    (固定資産税納税通知書等に金額が載っています)

  3. 登録免許税
    不動産の課税価格(上記2)に、0.4%を掛けた金額が登録免許税になります。
    (※100円未満は切り捨て)

  4. 不動産の表示
    不動産の登記簿謄本(全部事項証明書)を取得し、正確な所在、地番、地目や地積を記入します。

 

難しい書類ではありませんが、固定資産税納税通知書や登記簿謄本を取得しないと記載できない項目もあるため、作成前の準備が大切です。

 

2-2.遺産分割協議書

相続人全員で協議をした結果をまとめた書類です。

不動産の詳細を記載する場合は、登記簿謄本等を見ながら正確な情報を記載しましょう。

協議書には相続人全員が署名し、実印の押印も必要です。

 

2-3.戸籍謄本

亡くなった人の戸籍と、相続人の戸籍がそれぞれ必要になります。

(これは不動産に限らず、相続手続き全般で必要な書類です。)

 

それぞれ必要な戸籍は下記の通りです。

  • 被相続人(亡くなった人)の出生から死亡まで一連のすべての戸籍
  • 相続人の現在戸籍

 

被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて取得することで、誰が相続人になるかが判明します。

戸籍謄本は、本籍地を管轄する役所で取得することができます。

 

【一連の戸籍とは?】

戸籍は、婚姻・離婚・養子縁組・本籍地の変更などがあった際にその内容が記載され、場合によっては新しく作成されることになります。

都道府県をまたいで本籍を移した場合、移転前と移転後それぞれの管轄の役所にて戸籍を取得する必要があります。

戸籍に関連する書類として除籍や原戸籍などがありますが、それらも全て過不足なく揃えることで「一連の戸籍」が揃います。

(詳しくはこちら:【戸籍謄本まるわかり】相続手続きに必要な戸籍をケース別に徹底解説|まごころ相続コンシェルジュ

 

2-4.住民票

相続登記の際は下記の住民票が必要です。

  • 被相続人(亡くなった人)の住民票(除票ともいいます)
  • 不動産を取得する相続人の住民票

 

住民票は、住所を管轄する役所で取得することができます。

 

2-5.印鑑証明書

印鑑証明書は、遺産分割協議書に押印しているハンコが実印であることを証明するために必要になります。

遺産分割協議書に押印した相続人全員分の印鑑証明書が必要です。

 

そもそも実印登録していない人はまずそれをする必要があるため、お住まいの市役所等で手続きし、その後、印鑑証明書を発行しましょう。

印鑑証明書は銀行の解約手続き等ほとんどの相続手続きに必要になるため、登録していない場合は早めに登録しておきましょう。

 

2-6.固定資産税納税通知書

相続登記する不動産の評価額を証明するために必要になります。

その評価額に基づいて、登録免許税の金額が決まります。

(→金額の話は「2-8.収入印紙」で解説)

 

固定資産税納税通知書は、毎年5月頃に、役所や市税事務所等から不動産の所有者に送られます。

不動産の固定資産税や評価額等が記載されているため、固定資産税を払った後に納税通知書を捨てないようにしましょう

 

【!補足!】

原則、再発行ができません
紛失等で手元にない場合は、下記の「固定資産評価証明書」等を取得して代用しましょう。

相続登記では、該当年度のもののみ利用可能です
例えば、令和4年9月に申請する場合は、令和4年の5月頃に届く固定資産税納税通知書を提出することになります。
※年度の区切りは3月31日であるため、令和4年2月に申請をする場合は令和3年5月頃に届く令和3年度の通知書を使います

納税通知書がなくても【固定資産評価証明書】で代用可
不動産所在地を管轄する役所(または市税事務所)で発行できます。
納税通知書と同様に、不動産の評価額が記載されています。

 

2-7.相続関係説明図

亡くなった人および相続人の続柄を図に表したものです。

いわゆる家系図に似た書類で、故人と相続権を有する人だけを記載することで、相続関係が一目でわかります。

(これがないと、法務局の人も戸籍をひとつひとつ確認しながら全体像を把握していく手間が生じてしまいます)

相続関係説明図には下記を記載して作成しましょう。

  1. 亡くなった人の情報
    氏名、住所、生年月日、本籍地、登記簿記載住所

  2. 相続人全員の情報
    氏名、住所、生年月日

 

2-8.収入印紙

相続登記にかかる税金(登録免許税)の納付で利用します。

郵便局や法務局で入手することができます。

 

【登録免許税の計算方法】

対象の不動産の固定資産税評価額 × 0.4% = 登録免許税

(※100円未満は切り捨て)

 

2-9.登録免許税印紙納付台紙

収入印紙を貼付するための用紙です。

剥がれないようにしっかりと貼付けましょう。

 

実際に「戸籍を自分で集めてみたが、これで本当に揃っているのかわからない…」といったご相談は本当にたくさんあります。

ただでさえ慣れない相続手続きを、情報を集めながら手探りでやり抜くには本当に大変な労力を要します。

専門家に相談することで、名義変更以外の事項(例えば抵当権が抹消されていなかったり、相続人の登記上の住所が以前のままだったり)に気付いてもらえることもありますので、費用はかかりますが、相続登記の必要書類や手続きに困ったときは、早めに専門家に相談することをおすすめします。

 

3.遺産分割協議以外の不動産の相続方法

前章まで、一般的な相続登記の方法として、相続人全員の遺産分割協議で手続きする方法をご紹介してきました。

 

遺産分割協議以外にも、

2パターンがありますので、ご紹介します。

 

3-1.遺言で相続する方法

遺言により不動産を取得する人が決まっている場合は、遺産分割協議は不要です。

 

ただし遺言による相続登記の場合、以下のように必要書類が少し異なるためご注意ください。

 

【遺言による相続登記の場合の必要書類】

2章でご紹介した9つの必要書類の内、

2-1.遺産分割協議書の代わりに、遺言書を提出しましょう。(※原本必須

2-3.戸籍謄本は、次の2つのみで足ります。(※遺言で相続人が不動産を取得する場合)

  • 被相続人(亡くなった人)の死亡記載の戸籍謄本
  • 不動産を取得する人の現在戸籍

(※他の必要書類については同様です)

 

3-2.法定相続分で相続する方法

不動産の権利を、相続人の法定相続割合通りに分ける方法です。

(例:妻が2分の1、子A4分の1、子B4分の1の権利を引き継ぐなど

 

この場合、遺産分割協議書が不要なのでラクに思われるかもしれませんが、ポイントは不動産が共有名義になってしまうことです。

 

不動産が共有状態ということは、例えば売却したいとき、共有者全員で手続きをする必要があります。

(仮にひとりでも反対があれば売却できません。)

 

手続きのラクさ、その場しのぎの対応で手続きを進めてしまうと後になって困ってしまうこともあるため、しっかり検討して適切な方法で手続きをするようにしましょう。

 

4.まとめ

この記事では不動産の相続登記の方法として、遺産分割協議での方法をメインに手続きの流れや必要書類など解説してきました。

 

手続きの流れとしては、遺産分割協議によって決まった不動産取得者が、必要書類を持って管轄の法務局で登記申請します。

 

必要書類は2章でご紹介していますが、特に、下記のようなケースでは追加書類が発生する場合もあります。

 

■相続人の中に、下記に該当する人がいる場合

  • 未成年の相続人
  • 相続放棄した相続人
  • 認知症の相続人
  • 所在不明の相続人
  • 海外在住の相続人
  • 外国籍の相続人
  • 相続登記前に亡くなった相続人

 

その他、被相続人が外国籍の場合、遺産分割の調停調書がある場合なども追加で書類が必要になります。

 

状況によって必要書類が変わってくるため、不動産の相続登記でお困りの際は相続の専門家に相談しましょう。

相続登記の専門家は司法書士になります。)

 

当センターにも相続を専門に扱う司法書士がおりますので、お気軽にお問い合わせください。

>>不動産の相続手続き代行についてはこちら

 

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この記事を執筆した専門家

この記事を執筆した専門家 成田 豊
  • 行政書士
  • 司法書士
  • 土地建物調査士
  • 宅地建物取引士

成田 豊

Yutaka Narita

大阪司法書士会 第3864号
大阪土地家屋調査士会 第3298号
日本行政書士会連合会 第09262077号

司法書士、土地家屋調査士、行政書士、宅地建物取引士、法学修士という様々な資格を持つ不動産の相続手続きの専門家。10年を超える実績を持ち、不動産の贈与や売買はもちろん、合筆や分筆、解体後の滅失登記まで幅広く対応。成田法務事務所の代表司法書士。

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