目次【本記事の内容】
1 .相続手続きにおける特別代理人とは
1−1.必要なケーとは?
相続手続きにおいて特別代理人が必要なケースとして一番イメージしやすいのが、配偶者と未成年の子供が相続人になった場合です。
(例えば夫が死亡し、配偶者である妻とその子供が相続人となった場合)
具体的には「配偶者(妻・夫)が死亡し、未成年の子供がいる場合の遺産相続手続き」のページで詳しくご説明しておりますので、そちらをご覧いただければと思います。
1−2.代理手続きの範囲
特別代理人について簡単に申しますと、家庭裁判所によってその手続きの為だけに特別に選任された代理人のことです。
特別代理人については、裁判所のホームページでも詳しく説明されておりますので、こちらをご参照ください。
裁判所ホームページ/特別代理人選任(親権者とその子との利益相反の場合)
上記にも書いてありますように、何をする為に選任された代理人であるかが明確ですので、家庭裁判所の審判によって決められた手続き以外を代理することは一切できず、その行為が終わった時点で任務は終了することになります。
遺産相続手続きにおいてはその代理の範囲は以下のようにある程度限られており、
・他の相続人と遺産分割協議をする
・そこで決まった内容をまとめた遺産分割協議書に署名押印をする
・遺産分割協議書に基づき銀行口座、証券会社、不動産などの手続きを行う
この手続きを未成年者の代理人として行うことが基本となります。
なお、遺産分割協議については申立ての時点で遺産分割協議書案を添付しますので、選任後に改めて協議をするというケースは基本的にはありません。
この時、特別代理人は選任された後、自分の裁量で相続権を主張しないことができるかというと、それは不可能です。
代理人という言葉の通り、そもそも未成年者という本来の相続人がおり、その人に代わって遺産分割協議に参加するわけですので、その代理する未成年者の権利を侵害するようなことはあってはなりません。
もしそんなことがあれば、未成年者が大きくなっていろいろなことがわかるようになってきた時に、「どうして2分の1もらえるのにもらわなかったんだ!」というトラブルになりかねません。
ですので、民法で定められている法定相続割合を下回る合意は不可で、反対に自身の受け取り分が増えるような合意は全く問題ないということになります。
たとえば、同じ相続人である未成年の母が、自分の法定相続割合分も未成年の子に相続させたい、といった意向がある場合に特別代理人が合意することは可能です。
2.手続き方法
特別代理人の選任手続き自体は非常にシンプルです。
申立書を作成し、未成年者の戸籍謄本、特別代理人候補者の住民票(または戸籍の附票)、収入印紙800円分(子供1人に対して)などを添付して管轄の家庭裁判所に申し立てるのみです。
あとは家庭裁判所の判断で特別代理人が選任されるのですが、申立書には候補者を記載する欄があり、例えば友人、社会福祉士、民生委員などの第三者を候補者として挙げることも可能です。
当センターのような専門家を候補者として挙げることももちろん可能ですが、家庭裁判所によっては候補者を一切受け付けず、裁判所が有する独自のリストから無作為に選任するところもあります。
そして選任された特別代理人と遺産分割について話し合いし(確認し)、遺産分割協議書へ署名押印、そして銀行や不動産などの手続きを進めていくという流れになります。
特別代理人がどういった制度なのか、どういう人が選任されるのか、手続きの方法とその流れについてご理解いただけましたでしょうか?
手続き自体は当方でもお手伝いさせていただいておりますので、お気軽にご相談下さいませ。
3.まとめ
・特別代理人は、未成年の相続人の代理人として、家庭裁判所で認められた代理行為のみを行うことができる。
・管轄の家庭裁判所に必要書類を揃えて申し立てる。
<関連記事>
◯特別代理人による遺産分割協議に関連し、未成年者の子供が相続放棄をすることができるかどうかについては「未成年者の子供が家庭裁判所で相続放棄をすることはできますか?」にて詳しく解説しております。
◯未成年後見人については「相続手続きにおける未成年後見人とは?特別代理人とは違うの?」をご覧ください。
◯特別代理人と未成年後見人の違いがわからない、もっと詳しく知りたい!方は「相続手続きにおける未成年後見人とは?特別代理人とは違うの?」をご覧ください。