”相続させる”と”遺贈する”の違い|遺言書で相続人には”相続させる”と明記すべき理由

遺言書を作成しようと思っていろいろ調べていると、財産を誰かに渡すことについて「相続させる」「遺贈する」の2つの言葉があるということを知りました。どのような違いがあるのでしょうか。

  • 「相続させる」は、相続人に対して使う言葉
  • 「遺贈する」は、相続人でも相続人以外でも使える言葉
  • 遺言で相続人に「遺贈する」を使った場合、手続きが変わる事例がある

 

遺言書において、よく「相続させる」「遺贈する」という文言が出てきます。

どちらの文言でも、遺言者(遺言をした人)が亡くなったときに、遺言者の財産を「●●に渡す」という意味で使われます。

 

ですが、単に言葉が違うだけではありません。

双方の意味合いをしっかり理解し、正しく遺言をしないと、思ったように相続できなかったり、手続きが複雑になったりする場合もあります。

(※特に、不動産相続に関して遺言したい場合は、要注意です。)

 

この記事では、その文言の違いについて解説していきます。

 

※「相続させる」「遺贈する」といった文言以外に、遺言が法的に有効になるためには外的要件があります

 

1.「相続させる」と「遺贈する」の違い|言葉を使う相手が異なる

「相続させる」と「遺贈する」の大きな違いは、財産を渡す相手が異なることです。

 

【相続させる】

「相続させる」とは相続人に対して使う文言です

例えば、「相続人AX不動産を相続させる」といった文言です。

「相続させる」という言葉は、本来は相続人以外に対して使いません

 

【遺贈する】

他方、「遺贈する」とは相続人以外にも使える文言です

例えば、「息子の配偶者Bに○○銀行の預金を遺贈する」といった文言です。

(遺言者から見て息子は相続人ですが、その配偶者(B)は相続人ではありません。)

 

相続と遺贈の違い

 

どちらの言葉であっても、「特定の人に遺言者の財産を引き継がせる」という意味では同じです。

 

しかし、意味合いとしては大きく異なるため、遺言書で不一致が起こると、相続手続きに影響を及ぼす場合があります
(詳しくは2で解説します)

 

〈例〉

✖ 相続人Aに遺贈する(正しくは「相続させる」)

✖ 息子の配偶者Bに相続させる(正しくは「遺贈する」)

 

そのため、

  • 相続人に財産を渡したい場合は「相続させる
  • 相続人以外の人に財産を渡したい場合は「遺贈する

という文言を使うようにしましょう。

 

文言の違いをわかりやすくお伝えするために、表現をシンプルにしています
実際に遺言書を作成する際は、ぜひ専門家にご相談ください。

 

2.相続人に対して「遺贈する」を使うことで影響を受ける手続き

なぜ相続人に対しては「遺贈する」ではなく「相続させる」の文言の方がいいのかを解説していきます。

 

2-1.不動産の相続登記をするケース

  • 相続人に「相続させる」の場合

 遺言書の文言が「相続人Aに不動産を相続させる」となっている場合は、相続人Aが単独で相続登記(不動産の名義変更=所有権移転登記)をすることができます。

 

  • 相続人に「遺贈する」の場合

 遺言書の文言が「相続人Aに不動産を遺贈する」となっている場合は、

  • 不動産を取得する相続人A
  • 他の相続人全員

 が共同で手続きを進める必要があります。

(不動産を取得する相続人A単独で、相続登記することができません。)

 

どちらの場合であっても、相続登記の手続きはできますし、登録免許税(不動産の登記をする際にかかる税金)に関しても金額は変わりません。

 

ただし、本来(不動産を取得する)相続人Aが単独で手続きできたところ、遺言が「遺贈する」という表記になっていることで、手続きの進め方に影響が出る場合があります。

 

※わかりやすく違いをお伝えするために、遺言内容等を簡易的にしています。

 

3.相続人に対して「遺贈する」を使っても特に変わらないこと

2章では、相続人に「遺贈する」という文言を使うことで手続きに差があることを説明しました。

 

ここでは、相続人に「遺贈する」と使っても特に変わりはない事例を2つ紹介します。

 

3-1.農地を取得するケース

亡くなった人の農地を引き継ぐ場合、「相続させる」でも「遺贈する」でも、大きな影響はありません

 

「相続させる」「遺贈する」の文言の意味合いよりも、「誰が取得するのか」で手続きが変わります

 

農地を取得する際は、各地域の農業委員会の許可が必要になります。

 

ですが、相続や遺言で相続人が農地を取得する際は、農業委員会の許可は不要になります。

(これは、遺言が「相続させる」「遺贈する」いずれの文言であっても変わりません。)

 

ただし相続人以外の人が農地を取得する際は、下記のとおり農業委員会の許可必要かどうかが決まります。

  • 包括遺贈:農地法の許可は不要

(包括遺贈とは、全ての財産に対して割合を指定して財産を渡すこと)

例:「財産の全てをAに遺贈する」、「財産の3分の1Aに遺贈する」など

 

  • 特定遺贈:農地法の許可が必要

(特定遺贈とは、特定の財産を指定して財産を渡すこと)

例:「甲土地をAに遺贈する」など

 

農地法:農地について定められている法律で、農業委員会の許可もこの法律で定められています。

農業委員会:市町村に設置されている行政委員会で、農地の許可や調査・指導をしている機関です。

 

3-2.相続税を申告するケース

相続税は、亡くなった人の財産が一定以上ある場合に、「財産を取得した人」に課税されます。

 

「財産を取得した人」には、

  • 相続で財産を取得した相続人も
  • 遺言書により遺贈で財産を取得した人も

いずれも含まれます。

 

このとき、遺言書で相続人に対し「相続させる」「遺贈する」どちらの表記であっても、課税関係は変わりません

 

4.まとめ

ここでご紹介したように、「相続させる」と「遺贈する」の違いに影響があるのは、遺言書での文言です。

 

ご自身の意志を確かに伝えるためにも、遺言書の文言には細心の注意を払い作成するようにしましょう。

 

特に、ご自身で作成する「自筆証書遺言」の場合、書き方によっては法的に無効になることもあり得ます。

 

一方、公正証書遺言の場合、「100%法的に有効」とは断言できませんが、少なくとも、「相続させる」「遺贈する」といった文言については、一緒に作成する公証人がいるため安心です。

 

当センターでも、公正証書遺言の作成のサポートをしております。

作成にあたって、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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この記事を執筆した専門家

この記事を執筆した専門家 梶村 竜平
  • 行政書士

梶村 竜平

Ryohei Kajimura

日本行政書士会連合会12261347号
大阪府行政書士会 第6346号

相続手続き専門の行政書士として7年を超える実績。相続手続きの全般に精通し、面談から書類作成まで全てに対応。ご遺族の心に寄り添い、一緒に完了・解決まで取り組む。戸籍の収集を得意とし、複雑な相続関係、難読文字の解析に関しては他士業からの信頼も厚い。G1行政書士法人所属。

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