HOME >> 実際にあったご相談実例 >> 「相続させる」と「遺贈する」は全然違う!

実際にあったご相談実例

父が死亡し、母と兄と私が相続人なのですが、父が生前に作成していた公正証書遺言の中に「遺贈する」という言葉がありました。法律に詳しくないので意味がわからないのですが、「相続」とは違うのでしょうか?もしかしてこの遺言書は無効なのでしょうか?

遺言書に関するご相談です。

 

「相続」という言葉は皆様よくご存知かと思いますが、「遺贈」という言葉も確かに存在します。

これからこの2つの違いをご説明していきますが、その前に、まずはどちらも遺言者が死亡した場合に、指定された人が財産が取得するという意味では非常に似ているということを頭に入れておいて下さい。

 

 

ではまず「相続」についてです。

相続については皆さま想像できるかと思いますが、人が死亡したとき、配偶者や子供などその人と一定の関係にある人(いわゆる法定相続人)が財産や権利・義務を引き継ぐことです。

(民法882条、896条で具体的に明記されておりますが、わかりやすく噛み砕いた表現をしております)

 

法定相続人が引き継ぐ、これが「相続」ですが、逆に考えると、法定相続人以外が引き継ぐことになった場合は「相続」と表現することはできません

「相続」という言葉が使えるのは、引き継ぐ相手が「法定相続人の場合のみ」です。

 

 

これに対して「遺贈」ですが、遺贈というのは遺言書によって特定の人に財産を贈与することです。

この贈与を受ける相手ですが、法定相続人に限定されているわけではありません。

家族でもない、親族でもない、友人などといった第三者でも、遺言書に記載することで財産を譲ることができます

では逆に、法定相続人に対しては「遺贈」という言葉が使えないかというと、そんなことはありません。

たとえ相手が法定相続人であったとしても、「遺贈する」と遺言書に書くことで財産を譲ることができるのです。

 

 

ここまでをまとめておきましょう。

 

 

■相続させる ・・・ 法定相続人に対してのみ

■遺贈する ・・・ 法定相続人を含め、誰に対しても可

 

 

 

 

では、ここまでを読んでみて、少し疑問が出てきませんか?

「遺贈する」が法定相続人でも友人でも誰でもOKなのであれば、どうしてわざわざ使い分ける必要があるのでしょうか?

「相続させる」などという言葉を使わずに、全部「遺贈する」のほうが間違いもなくて良いのではないでしょうか?

 

実はこの2つの言葉、大きな違いがあるんです!

※言葉だけの違いと読み取れる表現をしていますが、「相続」と「遺贈」はそもそもの法律行為が全く異なります。

ここではわかりやすく書いているという認識で読んで下さいね。

 

 

具体的にどのような違いがあるか、いくつかの場合でご説明致します。

 

 

死亡によって不動産の名義を変更する場合

遺言書の中で「○○にある自分の名義の不動産を△△に遺贈する」と書いた場合、△△さんはこの遺言書に従って不動産の名義を自分の名義に変更することができるのは間違いありません。

でも、遺言書を持って勝手に法務局に行くだけでは「いやいや、できませんよ、ダメですよ」と言われてしまうんです。

 

えっ?なぜ?くれる(遺贈する)って書いてるのに?と思いませんか?

 

実は「遺贈する」の場合、他の法定相続人全員と共同で名義変更の手続きをしなければならないんです!

共同でって全員で一緒に法務局へ行くのかという話ですが、さすがにそこまでは求められないとしても、法定相続人全員の印鑑証明書などが必要になります

もし誰か一人でもこの遺贈に対して良い想いを持っていなかったとすれば、果たして印鑑証明書の提出など快く協力してくれるでしょうか…?

 

ちなみに、遺言書の中で遺言執行者という人を定めている場合もあるのですが、その場合は法定相続人全員の協力は必要ないとしても、その遺言執行者と共同して手続きをしなければなりません

 

結局のところ、遺贈を受ける人だけでは手続きができないということなんです!!

 

 

・・・とここまでは「遺贈する」についてお話しましたが、では遺言書の中で「○○にある自分の名義の不動産を△△に相続させる」と書いていた場合はどうでしょうか?

 

「相続させる」は法定相続人限定ですので、△△さんは法定相続人であるということが大前提ですが、なんとこの場合は指定された法定相続人である△△さんが単独で登記申請できるんです!!

 

 

この圧倒的な違い、ちょっとびっくりしませんか?

法定相続人に対しては「遺贈する」でも「相続させる」でもどちらでも書けるのですが、ここまで手続きに違いが出てしまうのです。

ですので、譲る相手が法定相続人であれば、特段の理由がない限り必ず「相続させる」と書くようにしましょう!

 

 

他にも大きな違いが出るケースがあるのですが、このまま書き続けると非常に長くなってしまいますので、今回の回答では以上としておきます!

興味がある方、ぜひ続きの記事をご覧下さい。

>>「相続させる」と「遺贈する」は全然違う!(農地、借地権の手続きにおける違い)

 

 

遺言書の書き方でお悩みの方、「遺贈する」と書かれた遺言書が見つかった方、ご不明な点やご質問などありましたらいつでもお気軽にご相談下さいね。

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