- 相続税の概算を計算するための方法(考え方)
(自分で計算できるが、ほとんどの人が税理士に依頼するほど難しいのが現実)
相続が発生すると、「果たして相続税がいくらかかるのか?」気になると思います。
相続税の申告手続きは税理士など専門家に頼めますが、そもそも相続税が「いくらくらいかかるのか」を把握しておくことで、どれくらい現金を用意しておく必要があるのか等を考える材料になります。
そこで、この記事では「ご自身で相続税を計算する」方法について解説していきます。
目次【本ページの内容】
1.相続税は自分で計算できる?→できなくはない
「相続税の計算」といっても、その計算はとても複雑で、すぐ解を導き出せる方程式のようなものがあるわけではありません。
計算自体はシンプルですが、各財産の評価額を算出するのが難しいため、多くの場合税理士などの専門家に計算・申告をお願いする人が多いです。
ですがもちろん、書籍やインターネット等で計算方法を調べ、理解ができるとご自身でも相続税の計算・申告はできるでしょう。
2.相続税の計算方法(考え方)
相続税の計算はとても複雑であるため、ここでは一番基本となる計算についてのみご紹介します。
※計算の考え方であり、正確な相続税額を求めるものではありません。ご了承ください。
まず相続税には基礎控除があり、相続財産に対して、基礎控除額を上回った分に相続税が課せられます。
ここでは一例として、以下のように仮定します。
- 基礎控除額を上回る相続財産:6,000万円
- 被相続人(亡くなった人):夫
- 相続人4人:妻、子A、子B、子C
この場合の相続税額を考えるには、以下のステップを踏みます。
①基礎控除額を上回る相続財産を、法定相続割合で分ける
つまり、法定相続割合によって、6,000万円を
- 妻:2分の1=3,000万円
(子3人で、残りの2分の1を3等分する) - 子A:(2分の1×3分の1)6分の1=1,000万円
- 子B:(同上)6分の1=1,000万円
- 子C:(同上)6分の1=1,000万円
と算出します。
②①で算出した取得額について、それぞれに法定の税率をかける
(税率は、国税庁のHP(No.4155 相続税の税率)にて確認できます。)
これをもとに計算すると、
- 妻(3,000万円)×15%=450万円
(※控除額があり、この場合50万円が控除され、400万円になります) - 子A(1,000万円)×10%=100万円
- 子B(1,000万円)×10%=100万円
- 子C(1,000万円)×10%=100万円
③②の額を合算する
妻400万円+子A100万円+子B100万円+子C100万円=700万円
(妻は控除後の400万円で計算します)
これが、基礎控除額を上回る相続財産6,000万円に対する相続税額となります。
※あくまで計算の考え方です。
④実際の財産の取得割合に応じて、個々の相続税を計算する
■法定相続する場合
- 妻:700万円×2分の1=350万円
- 子A:700万円×6分の1=116.6万円
- 子B:700万円×6分の1=116.6万円
- 子C:700万円×6分の1=116.6万円
※配偶者は税額軽減の制度を使うことで相続税ゼロに!
配偶者の場合、相続税の税額軽減の制度があります。
これは、相続財産の総額に対して
- 配偶者の法定相続分まで
- 1.6億円まで
いずれか多いほうの金額までであれば、相続税がかからない制度です。
よって、ここで配偶者の特例を使うと、実質妻の相続税はゼロということになります。
(配偶者に適用される制度であるため、当然子ABCの3人には変わらず相続税が発生します。)
3.まとめ
おわかりの通り、相続人ごとの相続税の金額は「どのくらい相続するか」という実際の相続割合と連動し、
- 相続財産を多くもらう人は相続税も多くなる
- 全く相続しない人は相続税も一切ない
と(基本的には)こういうことになります。
実際の申告は税理士がサポートするとしても、だいたいどれぐらいの相続税になるのか概算を知る上で、この記事が少しでもお役に立てると幸いです。
相続税の計算、申告でお困りの場合は、税理士に相談しましょう。
当センターにも相続税に強い税理士が在籍しています。
お気軽にご相談ください。

滝 亮史Ryoji Taki
近畿税理士会 東支部 第107863号
大阪府中小企業診断士会 第411767号
相続税申告、生前対策に強い税理士、中小企業診断士。大手税理士法人での経験を活かし、”今”だけでなく”次の相続”を見据えたベストな方法をご提案する。CISコンサルティング税理士法人、CISコンサルティング株式会社の代表税理士。