トラブル回避の極意!死亡前や死亡後(凍結前)に銀行口座から引き出すポイント

ガンで入院中の父が、今週が山場だと言われました。葬儀代や諸々の手続きを考えると、死亡して凍結する前に銀行口座の預金を引き出したいのですが、問題ないでしょうか?

  • 死後であっても凍結前なら口座から引き出しできる
  • トラブル回避のポイントは、他の相続人への【事前共有証拠】
  • 払戻し制度なら安心して引き出すことが可能

 

死亡によって銀行口座が凍結してしまう前に、葬儀代など必要なお金を引き出してもよいかどうかというご相談です。

 

例えば、亡くなった人の口座で生活費などを管理していた場合、その口座が凍結してしまうとその後の生活に影響を及ぼす可能性があります。

これは、遺された家族にとって非常に重要な問題です。

 

そうなる前に、つまり死亡する前(銀行口座の凍結前)に、当面必要となる分だけでも引き出ししておきたい、と考える人はたくさんいます。

 

結論から伝えますと、引き出すことは「物理的には可能」ですが、勝手に引き出すとトラブルを招く可能性があるため、留意して引き出すとよいでしょう。

 

どういうことに注意すべきなのか、それはなぜなのか、この記事で詳しく解説していきます。

 

1.生前(死亡後であっても凍結前)の預金の引き出しは“物理的には可能”

キャッシュカードと暗証番号さえあれば、銀行口座が凍結してしまう前にお金を引き出すことは”物理的には可能”です

ATMにキャッシュカードを入れて、暗証番号を入力するだけの作業です。

 例えばですが、足の不自由な人が、自分の家族にカードを預けて引き出しをしてきてもらう、ということはあり得ることです。)

 

つまり、引き出しできるかどうかという視点だけで考えれば、答えは「できる」になります

 

ただし、考慮すべきポイントがあるのも事実です。

たとえ口座の名義人引き出そうとする人との間に信頼関係があったとしても、他の家族や相続人にはそれがわからず「勝手に引き出した」と思われかねません。

 

では、どうすればよいのでしょうか?

この点について、より掘り下げて説明します。

 

1-1.引き出すことを口座名義人が納得・理解しているかが重要

そもそも、物理的に口座から預金を引き出すことが可能なのは、口座の名義人実際に引き出す人との間に信頼があるからです。

(キャッシュカードと暗証番号を託しているからこそ、引き出しが可能になります)

 

もしこれが勝手に持ち出して引き出したとなれば、それはもちろん犯罪です。

つまり、その行為(預金を引き出すこと)が誰の意思なのかによってとらえ方は変わってきます。

 

言い換えると、葬儀費や生活費という目的はさておき、引き出すことについて名義人本人が納得しているのか、理解しているのかという点が重要になってくるということです。

 

では、死期が近い状況において(あるいは死後、口座が凍結する前においても)、本人の意思ではない、つまり、家族または相続人自身の判断で引き出そうとした場合はどうでしょうか?

 

この場合は、家族や相続人の間で情報が共有されているか、全員が納得した上で引き出しているのか、という点がポイントになります。

 

1‐2.他の家族や相続人に引き出すことを共有しておくことが重要

通常、亡くなった人の銀行口座は相続手続きをすることによって解約され、払戻しを受けることになります。

しかし、それには戸籍や実印などをそろえて申請する必要があるため、1~2週間で手続きを終えるのは難しいケースがほとんどです。

 

その前に、急ぎで口座から預金を引き出したい。その目的はなんでしょうか

 

つまり、引き出す目的(使い道)が不明瞭であると、他の相続人から

  • 何に使ったんだ?
  • 自分だけ先に多くもらったんじゃないのか?

疑われることになってしまい、トラブルを招く可能性があるということです。

 

本当に必要な支払い(葬儀費用など)で使ったのに、疑われると嫌な気分になりませんか?

しかし、もし反対の立場であれば、同じことを思ってしまうかもしれませんよね?

 

疑う側もケンカをしたいわけではなく、その使った内訳を知りたいだけかもしれません。

 

お互いに言い分があるのは当然ですが、それを防ぐための一番確実なことは

  • 事前に家族や相続人全員で話をし、引き出すことについて共有しておくこと
  • 引き出して使ったお金については領収書を残しておくこと

です。

(本人から聞いたのではなく後から知った場合のほうが、どうしても疑念を抱いてしまうものです

全員合意の上で預金を引き出すこと

 

この点に注意するだけで、トラブルを未然に防げることがほとんどです。

 

相続手続きは、銀行口座だけでなく不動産や車の名義変更など全ての手続きにおいて、相続人全員の話し合いが必要になります。

 

相続人の間に、一度疑いやトラブルが生じてしまうと、話し合いができなくなり、相続手続きも進まず、そして銀行口座も凍結したまま…ということに繋がりかねません。

 

そのため繰り返しになりますが、円満かつ円滑に相続手続きを進めるためにも、生前(または死後の凍結前)に預金を引き出す場合は、

  • 引き出した金額を履歴として残す(通帳の記帳等)
  • 何に使ったか領収書や明細を残す
  • それらについて家族や相続人と事前に共有する

ことが大切です。

名義人が亡くなる直前/直後に、預貯金を引き出す方は結構いらっしゃいます。

ですがやはり、相続人の間でしっかり話し合ってから引き出ださないと、後々のトラブルになることが多いように見受けられます。

また相続税の申告等がある場合は、必ず税理士などの専門家に確認するようにしましょう(2章参照)。

 

2.〈注意〉引き出したお金も相続財産であり、相続税の申告や遺産分割の対象

そもそも相続財産とは、被相続人(亡くなった人)の「死亡日時点」での財産です。

 

そこで、生前に銀行口座からお金を引き出しておけば「死亡日時点」での財産が減るため、結果的に相続税を減らせるのでは!?と考える人がいます。

 

しかし、この考えは誤りです

 

例えば、死亡直前に200万円を引き出したとします。

そのお金は「預金」200万円から「現金」200万円に形を変えただけで、その財産価値は全く変わりません。

当然現金も相続財産であるため、相続税の申告書には「現金」として記載するだけの話です。

 

もしそれが可能なら、全員が駆け込みでお金を限界まで引き出しますよね。

つまり、そういった付け焼刃的な対応はまったく意味がないということです。

 

また、たとえ「現金200万円」として適切に申告した場合でも、税務署に取引履歴をチェックされた場合、その意図的な引き出しの履歴があることによって、かえって「他にも財産があるのでは?」と疑われてしまうことにも繋がりかねません。

 

くれぐれも、むやみに引き出すことは避けましょう。

 

引き出した預金も相続財産

 

3.急ぎでお金が必要な場合は「払戻し制度」を活用しよう

亡くなった人の名義の銀行口座は、通常の相続手続きをすることによって払戻しを受けることができますが、「故人の預金から葬儀費用を払いたい」というように、急ぎまとまったお金を引き出したい状況もあるかもしれません。

 

そういった場合は、通常の相続手続きより簡易な「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」の活用がお勧めです。

通常の相続手続き 払戻し制度
手続き方法 相続人全員で書類作成/提出 相続人であれば1人から可能
申請者 相続人の代表者 払戻しをしたい相続人

 

他の相続人の目を盗むように口座から引き出すよりは、払戻し制度を活用し、しっかりと手続きを踏んだ方がより安心で確実です。

 

払戻し制度の詳細は、こちらのページをご覧ください。

 

一人からでも払戻し可能

 

通常の銀行の相続手続きをする場合の手順と必要書類については、当センターの運営するサイトにて詳しく解説しています。ぜひご参照ください。

>>【必見】銀行口座の相続手続き|スムーズに進めるための手順と必要書類(まごころ相続コンシェルジュ)

 

4.まとめ

凍結する前に口座から預金を引き出すことは物理的に可能ですが、様々なトラブルの原因になる可能性があります。

 

どうしても葬儀費用等で預金を引き出す必要がある場合は、

  • 相続人全員に預金から引き出すことを共有する
  • 引き出したお金の履歴と領収書を残す

この2点を徹底することで、相続人間のトラブルを未然に防ぐようにしましょう。

 

また、それよりも安心な「払戻し制度」を活用することもお勧めです。

 

当センターでは、銀行口座の相続手続きを代行しております。

相続人全員で行う相続手続きを、当センターの専門家が相続人の皆様に代わって手続きします。

ご希望の方はお気軽にご相談ください。

>>凍結された銀行口座の遺産相続手続き代行(名義変更・解約・払戻し)

 

銀行口座の相続手続きについて、ご不明点がありましたらお気軽にご相談ください。

 

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この記事を執筆した専門家

この記事を執筆した専門家 梶村 竜平
  • 行政書士

梶村 竜平

Ryohei Kajimura

日本行政書士会連合会12261347号
大阪府行政書士会 第6346号

相続手続き専門の行政書士として7年を超える実績。相続手続きの全般に精通し、面談から書類作成まで全てに対応。ご遺族の心に寄り添い、一緒に完了・解決まで取り組む。戸籍の収集を得意とし、複雑な相続関係、難読文字の解析に関しては他士業からの信頼も厚い。G1行政書士法人所属。

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