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【相談事例】2020年度最新版!預貯金の払い戻し制度の新設についてのすべて【相続法改正シリーズ②】

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【相談事例】2020年度最新版!預貯金の払い戻し制度の新設についてのすべて【相続法改正シリーズ②】

先日夫が亡くなりました。長男が喪主となり葬儀を行いましたが、こんなに費用がかかるものとは知らず、すでに銀行は凍結しており現金が引き出せません。長男も社会人になったばかりで貯金がありません。借金をせずに済む方法があれば教えて下さい。

 

今回のご相談のように、お亡くなりになられた方の通帳をメインで使用されていた場合、相続開始によって銀行口座が凍結してしまうと一切の入出金ができず、生活することもままならない状況になってしまいます。

 

 

特に葬儀費用については規模によって数十万円~百万円を超えることもあり、現金や銀行振り込みでの一括払いのところも多いので、取り急ぎ必要となる大きな費用の一つと言えます。

 

 

頼みの綱である遺族年金も、申請してから3ヶ月程度はかかるのが一般的ですし…

 

 

では、お金を支払えない為に借金をしないといけないのでしょうか?

口座にはお金があって、自分も相続人であることは間違いなのに?

 

 

そういった方への救済方法として、今回の「預貯金の払い戻し制度」が新たに新設されましたので、詳しくご紹介致します。

ぜひご参考下さい。

 

 

 

目次【本記事の内容】

 

1.預貯金の払い戻し制度とは

 

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まずは制度の内容からご説明させていただきます。

 

 

1-1.いつから始まったの?

 

この制度は2019年7月1日から開始されました。

 

2019年の民法改正の中の注目制度の一つですね。

 

 

法務省のホームページにも詳細が記載されていますので、一度ご覧下さい。

相続に関する法律が変わります。(引用元:法務省ホームページ)

 

※今回ご説明している制度は「2 遺産分割に関する見直し等」の中の「⑵ 遺産分割前の払戻し制度の創設等」です。

 

 

1-2.制度の概要とメリット

 

それでは、この制度の概要についてご説明致します。

 

 

一言で申しますと、「費用の仮り払い制度」です!!

 

 

・・・と大きな声で言ってもいまいちピンとこないと思いますので、順序立ててもう少し詳しくご説明させていただきますね。

 

 

さて、実際に関わった方なら経験があるかと思いますが、葬儀費用というのは予想以上に高額です。

 

 

最近は小規模な葬儀や家族葬なども増えてきておりますが、それでもやはり数万円ではなく、10万円を超える葬儀、規模によっては100万円以上ということも全然あり得ます。

 

 

また、いざ相続の手続きを開始すると、ローンや負債が見つかることも少なくはありません。

 

 

そういった一般的な借入でなかったとしても、最近はクレジットカードを利用されている方も多いので、死亡後にその利用代金の請求が届くということは当然です。

(クレジットカードは後払いの為のカードですよね)

 

 

こういった高額かつ急を要する支払いの問題を解決するために、預貯金の一部について”遺産分割前”に払い戻しが出来るようになったというわけです。

 

 

この制度が新設されたことにより、お亡くなりになられた方の葬儀費用や借金を返済するための資金をとりあえず工面できるようになりました。

 

 

では、この制度のメリットを2点お伝えいたします。

 

 

【メリット①】

相続人のうち「単独で」被相続人の預貯金の一部を払い戻しを受けることが出来る!

 

 

通常、共同相続人がおり、預貯金の払い戻し(凍結解除)の手続きをする場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、相続人全員の同意がなければ払い戻しをすることが出来ません。

 

 

また、仮にその所定の手続きを経て払い戻しをするとしても、戸籍謄本の収集や必要書類をすべて揃えるにもかなりの時間を要することがほとんどです。

 

 

よって、すぐに高額の費用を支払わなければならない場合には難しいというのが実際のところです。

 

 

しかし、今回ご紹介する「預貯金の払い戻し制度」では、相続人であれば単独で預貯金の一部を払い戻すことが可能となりました。

 

 

【メリット②】

仮払いを受けたお金は、先に相続財産として受け取ったものとし、遺産分割協議の対象になる!

 

 

読んで字のごとくですが、先に仮払いを受けた金額は相続財産から除かれるのかというと、答えはもちろんNOです。

 

 

先に払い戻しをしたその預貯金も、あくまで被相続人の大事な相続財産の一部であることには変わりありません

 

 

よって遺産分割協議の対象となりますので、仮払いを受けた人がその金額をすでに相続した(受け取った)ものとして計算し、他の相続財産と併せて遺産分割協議をします。

 

 

この制度を活用した人だけが得をするわけではなく、活用していない人にとっても公平な制度となっていますね。

 

 

ただ、まだ制度としては一般的に浸透していないので、やはり他の相続人から少し不信感を持たれてしまう可能性もあります。

 

 

可能であれば事前に報告し、また、遺産分割協議書にはそのお金も含めてきちんと記載し、後々のトラブルを未然に防ぐようにしましょう。

 

 

相続された預貯金債権の払戻しを認める制度について

(法務省ホームページより)

 

 

1-3.気を付けて!注意点

 

この制度を利用するにあたり、いくつか注意しておくことがあります。

 

制度を有効活用するためにも、以下の点を押さえておきましょう。

 

 

①相続人であること

 

この制度は、誰でも利用できるわけではありません。

 

 

もし、誰でも利用できるのであれば、相続人以外の人が何かの理由をつけて引き出すことが可能となってしまいます。

 

 

「預貯金の払い戻し制度」と何度もお伝えしておりますが、大切なのは”遺産分割前”の「預貯金の払い戻し制度」ですので、当然ながら

 

 

遺産分割協議をする権利のある「相続人」

 

 

であることが前提となります。

 

 

残念ながら、たとえ喪主を務めたとしても、相続人という立場でない方はこの制度を利用することが出来ません

 

 

②払戻金額に“上限がある”

 

この便利な払い戻し制度ですが、「先払いを受けた金額も遺産分割協議に含める」ということは先ほどお伝えした通りです。

 

 

ということは、つまり、自分の法定相続分以上の払い戻しを受けることはもちろん不可ですし、法定相続分ギリギリまで払戻しをしてしまうのは金融機関にとってもリスクになりますので、その払い戻し金額には上限が設けられています

 

 

その上限とは・・・

 

「1金融機関あたり150万円」

 

または

 

「1口座につき払い戻しを受けようとする相続人の相続分の3分の1」

 

いずれか少ない方の金額と定められています。

 

 

前半はわかりやすいですが、後半がすごくわかりにくいですよね。

具体例を挙げて説明します。

 

 

例えば、相続人が子2人であり、そのうち喪主となった1人が預貯金600万円ある金融機関から払い戻しをするとします。

 

 

■状況■

相続人:子供2人

預貯金:1つの金融機関に600万円

 

 

この場合、相続人1人当たりの相続分は、600万円÷2=300万円です。

 

 

その3分の1というのが先ほどお伝えした後半の方ですので、300万円÷3=100万円になります。

 

 

これは、1金融機関の上限である150万円より少ないので、この相続人の方が払い戻しできる金額は100万円が上限となります。

 

 

 

2.どうやったら使えるの?利用方法

 

では、実際にどういう手続きを踏めば、この制度を正しく活用できるのでしょう。

 

 

それは、大きく分けて家庭裁判所での判断の要・不要が関わってきます。

 

 

その概要とポイントについて順に詳しくご説明いたします。

 

 

2-1.家庭裁判所の判断が不要な場合

 

家庭裁判所の判断が不要、つまり、所定の書類を揃えて申請すればOKという場合です。

 

 

裁判所に判断をしてもらわなくても良いということですので、比較的スムーズに進めることが可能です。

 

 

では、どういった時に裁判所の判断が不要なのかと言いますと、さきほどお伝えしました「上限金額」を超えない範囲で払戻しの請求をする場合です。

 

 

「ん?もともとそこまでしか払い戻しを受けることはできないんですよね?」と思われると思いますが、やはりその金額では到底お金が足りないということもあり得るかと思います。

 

 

そんな場合に次の方法、家庭裁判所の判断によっては、その上限を超える払い戻しも不可能ではありません。

 

 

まず、上限金額(「1金融機関あたり150万円」もしくは「1口座につき払い戻しを受けようとする相続人の相続分の3分の1」のいずれか少ない方)の範囲内であれば、所定の書類を揃えて金融機関に申請するだけでOKです!

 

 

2-2.家庭裁判所での判断が必要な場合(上限金額を超えるケース)

 

さて、多額の借金がある場合など、先ほど申しあげた金額以上のお金が必要なときは、家庭裁判所の判断によって、上限金額「以上」の預貯金の払い戻しをうけることができます。

 

 

一応の目安として、家庭裁判所の判断基準としましては、

 

「他の共同相続人の利益を害さない範囲の金額」

 

とされていますので、逆に考えると、利益を害さないことを証明しなければならないということです。

 

 

具体的な金額、どういった資料によって証明するか、さらに詳しい判断基準に関しましてはケースバイケースになりますので、実際に申し立ててみないとわかりません。

 

 

ここでは、申立てによって上限金額以上の払い戻しを受けられる可能性があるとだけお伝えしておきます。

 

 

また、家庭裁判所の判断が必要な場合は、その利用に際してデメリットもあります。

 

 

それは、費用と手間がかかるということです。

 

 

やはり上限金額以上の払い戻しを受けるためには相応の説明ができなければなりませんし、家庭裁判所への申し立てを行うためには費用も発生いたします。

 

 

それぞれ具体的に必要書類などが全国銀行協会のホームページにもわかりやすく記載されておりますので、こちらもご参照ください。

 

全国銀行協会ホームぺージ:「ご存知ですか?遺産分割前の相続預金の払戻し制度」

 

 

 

3.こんな場合に活用できる!!事例のご紹介

 

では、実際にどういった場合にこの払戻し制度が活用できるのか、事例を挙げてご紹介します。

 

 

3-1.葬儀費用を仮払いする場合(上限金額の範囲内)

 

<事例1>

・被相続人の預貯金:A銀行に900万円、B銀行に3000万円

・相続人:配偶者(妻)、長男、次男

・長男が葬儀費用としてまとまった現金を支払うことになった

 

 

さて、このケースでの長男の相続分(法定相続割合)は1/4です。

(配偶者が1/2、子供が残りの1/2を折半します)

 

 

この場合、まず、各銀行から長男が引き出せる金額を算出します。

 

 

■A銀行

900万円×1/4×1/3=75万円

75万円<150万円

75万円

 

 

■B銀行

3000万円×1/4×1/3=250万円

250万円>150万円

150万円

 

 

■結論

75万円+150万円=225万円

 

 

よって、このケースでは長男は最高225万円預金の払い戻しを受けることが可能です。

 

 

このケースよりお分かりいただけるかと思いますが、1金融機関につき払い戻し金額の上限設定が設けられていますので、このように複数の金融機関を活用することが可能となっています。

 

 

3-2.被相続人の借金を返済する場合(上限金額を超えるケース)

 

<事例2>

・被相続人の預貯金:A銀行に900万円、B銀行に3000万円

・相続人:配偶者(妻)、長男、次男

・被相続人に1000万円の借金があり、長男が早期に返済しなければならない

 

 

<事例1>では、長男が家庭裁判所の判断なしに払戻しを受けられる金額は225万円でしたね。

 

 

しかし、この金額では必要な1000万円には到底及びませんので、長男はさらに多くの払い戻しをを受けられるよう家庭裁判所に判断をもとめることが出来ます。

 

 

この際のポイントは「他の共同相続人の利益を害さない範囲の金額」ですね。

 

 

そこで、まず、長男が預貯金をどれだけ受け取る権利があるのかを算出します。

 

 

長男の相続分(法定相続割合)は1/4です。

 

被相続人の預貯金総額:900万円3000万円3900万円

 

長男の相続分:3900万円×1/4=975万円

 

よって長男は法定相続割合で遺産分割をすると、975万円を相続することが可能です。

 

 

単純にこの金額までOKということではありませんが、とりあえず目に見えるこの金額を上限として払い戻しの申立てを行い、家庭裁判所が

 

「法律上、長男には975万円を相続する権利があるので、預貯金の中からその全額の払い戻しを認める」

 

と判断すれば、長男は975万円の払い戻しを受けることが出来ます。

 

 

そしてそれを借金の返済額に充当することが可能となります。

 

 

 

4.まとめ

 

・預貯金の払い戻し制度とは、急に高額な費用を支払わなければならなくなったときに活用できる「費用の仮払い制度」である。

 

・相続人が単独で払い戻しを請求できるが、上限金額が設けられている。

 

・上限以上必要な場合は、家庭裁判所の判断が必要である。

 

 

 

(関連事例:相続法改正シリーズ

【相続法改正①】配偶者居住権って何?大切な5つのポイント

 

 

 

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