- 疎遠な親が亡くなると、(ほとんどの場合)相続人として何かしらの連絡が来る
- 相続人としてやるべきこと(相続手続きの流れ)
幼い頃に両親が離婚し、それ以来、一方の親とは会ったことがないというケースはよくあります。
そして、離れたほうの親が亡くなった場合、相続人である子のもとに何かしらの連絡が入ることが多いでしょう。
(両親が離婚していると、その配偶者に相続権はなくても、子は親から相続を受ける権利があります。)
それまで疎遠だったとはいえ、戸籍上親子と分かれば子(あなた)に連絡がいきます。
この記事では、親の離婚により離れて暮らしていた親が亡くなったときの相続手続きについて、
- どのように連絡を受けるのか
- どのように相続手続きを進めればいいのか
について解説していきます。
目次【本ページの内容】
1.疎遠だった親の死亡連絡を受けるケース
離れて暮らしていた親が亡くなったことは、どのように知るのでしょうか。
もちろん、自動的に連絡が来るということはなく、一般的には役所や親族から何かしらの連絡が来ることが多いです。
1-1.連絡が来る代表的な3つのケース
連絡が来る主なケースは、下記の3つです。
- 親の兄弟姉妹や親族から連絡が来る
- 役所から連絡が来る
- 警察から連絡が来る
1.兄弟姉妹や親族から連絡が来るケースは、彼らがそもそもあなたの連絡先や住所等を知っていて、連絡をしてくることが多いです。
2.役所から連絡が来るケースは、亡くなった人の親族が見つからず、役所が火葬等を行った後に、戸籍等をたどって相続人である子(あなた)へ連絡をしてきます。
3.警察から連絡が来るケースもあります。
いわゆる孤独死などで遺留品等から連絡先を見つけて連絡をしてくることもあります。
詳しくは2章で解説します。
1-2.連絡が来ないケースもある
親族や役所から連絡があれば、そのときから相続が始まり、手続きを進めていくことになります。
ですが、すべての相続に関して必ず誰かから連絡が来て知ることができる、ということではありません。
もちろん、全く連絡がないこともあります。
(あなたの親の死亡を知った人が、あなたが子であることに気づけない、知らない、連絡先を知らない、など色々な理由が考えられます。)
逆に、あなたから親が存命かどうかについては、戸籍で知ることができます。
その場合は親の戸籍を取得し、確認するようにしましょう。
※戸籍は自身の直系(父や祖父、子や孫)であれば取得できます。
2.〈孤独死の場合〉警察から連絡が来たときの対応
両親の離婚を受けて、離れて暮らしていた親と一切関わらず来ていた人が、実子としてその親の死亡連絡を受けるのは、多くの場合警察からということになるでしょう。
※そして多くの場合、これは孤独死のケースとなります。
(だから、疎遠でも親子である実子(あなた)に連絡をしたということになります。)
上記の記事でもご紹介していますが、警察から連絡を受ける流れは以下の通りです。
- 発見した人から警察へ連絡がいく
- 警察による現地調査
- 死亡の確認
- 身元や死因の調査
- 死亡連絡のための近親者の調査
- 警察から相続人(親族)へ連絡(←このタイミングで連絡が来る)
ですが、警察がやってくれるのもここまでです。
後は、連絡を受けた親族(相続人)が引き継いでもろもろ対応していく必要があります。
警察から連絡を受けてまずすべきことは、
①その人が本人(親)であるかどうかの確認
万が一「私の親じゃありません」ということを避けるために、確認をしましょう。
②遺体の引取り
会ったことがないような親であっても、親族(相続人)である限り対応する必要があります。
葬儀や納骨についても検討していくことになります。
③警察が預かっている遺留品等の受領
遺留品とは、その人の自宅内にあった
- 現金(財布)
- 銀行口座の通帳
- 不動産の権利証
- 免許証
- 名刺
などを警察が一時的に預かっていることがあります。
それらを警察から受け取りましょう。
ですが、これは自宅内にある荷物の全てではないため、一段落した後は自宅に赴き、残置物の確認をする必要があります。
3.相続人として子がすべきこと(相続手続きの流れ)
冒頭でもお伝えしましたが、親の離婚でもうひとりの親と
- 会ったことがなくても、
- 長年離れて暮らしていても、
親が亡くなると、子であるあなたは相続人です。
疎遠だったために、その親の家族関係や財産状況が見えにくいですが、相続人として通常の相続手続きを進めていくことになります。
中でも一番気がかりなのが、その親の財産を
- 相続するのか
- 相続しないのか(=相続放棄するのか)
だと思います。
相続放棄をする場合
相続放棄は、家庭裁判所で3か月以内に手続きをする必要があります。
この3か月かというのは、「親族や役所、警察等から、親が亡くなった連絡を受けて、自分が相続人であると知ったとき」から3か月です。
そのため、相続放棄をする可能性がある場合は、
- 戸籍を取得し、誰が相続人なのかを確定させる
- 財産の調査をする(預貯金、不動産、借金やローンなども含めて)
そのうえで、相続するか放棄をするか判断することになります。
3か月という期間はあっという間に過ぎるため、できるだけ早い段階から準備を進めていきましょう。
一方、相続をする場合は以下のような流れになります。
- 他に相続人がいる場合は、連絡を取り協力してもらう
- 遺産分割協議をする
- 役所での手続きや公共料金の解約など進める
- 亡くなった人名義のものの名義変更
- 準確定申告(亡くなった人の所得に関して)
- 銀行での預貯金の相続手続き
- 不動産の相続手続き
(その他亡くなった人の財産に関する手続き)
- 相続税の申告と納付(課税対象の場合)
これらの手続きを、相続人全員で進めていくことになります。
遺言書がある場合を除き、ほとんどの手続きには相続人全員の協力が必要になります。
手続きの流れについては、こちらの記事もご参照ください。
4.まとめ
両親が離婚し、離れて暮らす親が亡くなったとき、必ず死亡連絡が来るわけではありませんが、親族や役所、警察から死亡連絡を受けることが多いです。
離れていたとはいえ、実子である以上相続人となるため、手続きを進めていきましょう。
特に、相続放棄をしたい場合は、期限があるためなるべく早めに準備をする必要があります。
相続する場合であっても、他の相続人と連絡を取り、協力し合って相続手続きを進めることになります。
戸籍の収集に始まり、各種財産の調査、そして遺産分割協議など、やるべきことは盛りだくさんです。
やるべきことがわかっていても、手がつかない、関わりたくない、時間がないなど、状況は実に様々です。
そのような場合は、当センター含め相続の専門家に相談することや、手続きを代行してもらうことをお勧めします。