【孤独死で相続放棄すべきか悩んでいる人へ】安心の判断基準と放棄後の注意

孤独死した人の相続人になり、相続放棄をするかどうか悩んでいます。少しでも財産があるなら相続したいのですが、何か判断基準や調べる方法などはあるのでしょうか?

  • 孤独死の場合に相続放棄を考える理由
  • 相続放棄するべきかどうかの判断基準
  • 相続放棄をするまでに考えるべき他の選択肢
  • 相続放棄をした場合に絶対に注意すべき3つのこと

 

孤独死した人の相続人になり、「もしかしたら借金があったらどうしよう…」「面倒なことに巻き込まれたくない…」と不安に思った時は、相続放棄をすれば安心です。

 

相続放棄をすれば相続人としての権利を失い、そもそも「相続人ではなかった」という状況になりますので、当然プラス(お金)もマイナス(借金)も一切相続することがなくなり、また、その相続に関わることも一切なくなります

 

でも私がもしその状況だったとしたら、「少しでもプラスなら相続したい」と考えると思います。
(やはり私も人間ですので…)

 

ただ、この「少しでもプラスなら」というのがなかなかはっきりわからないのが孤独死の最大の難問です。

 

孤独死だからこそ、亡くなった人が

  • どういう生活をしていたのか
  • どれだけの財産を持っていたのか
  • 借金はなかったか
  • 誰かの保証人になったりしていないか

など、とにかく何もわからない状況から始まるのが孤独死の相続です。

 

孤独死であっても相続放棄の手続きの方法、期間などは通常の相続放棄と全く変わりありません

違うのは、亡くなった人の状況が全く分からず、本当に相続放棄をした方がよいのかどうかがわからないという点です。

 

この記事では、相続放棄の方法や手続きについてのご案内ではなく、孤独死だからこそ考えるべき相続放棄に関することを、孤独死のご相談、孤独死の相続手続きの代行、孤独死の相続放棄など、あらゆる孤独死の相続手続きをサポートしてきた実際の経験をもとに、専門家が詳しく解説します。

 

相続放棄について詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。

 

1.相続放棄を考える孤独死だからこその理由

相続放棄をされる方にはいろいろな理由があると思いますが、例えば

  • 借金がある
  • 相続人同士で仲が悪いので関わりたくない
  • じっくり検討した結果、相続放棄をすることに決めた

などがよくある理由ではないでしょうか。

 

これらの理由の全てに共通することは、「明確に」判断ができているということです。

しかし、孤独死の場合はそこが全て「不明確」です。

 

先ほどの放棄の理由と比較すると

  • 借金があるかもしれない
  • 突然のことでよくわからないので関わりたくない
  • 期限が迫っているので検討する間もなく相続放棄を選ぶしかない

というように、曖昧であったり不明であったり、「選ぶしかない」というように、選ばざるを得ない状況で相続放棄を考えているということです。

 

これが通常の相続放棄と比べて、孤独死だからこその理由です。

 

先に結論をお伝えしましたが、それぞれの理由についてもう少し具体的に解説していきます。

 

1-1.財産状況が全くわからないから不安

突然警察から連絡があり、「〇〇さんがご自宅でお亡くなりに…」と言われた時、さてあなたはその〇〇さんの財産をすぐに想像できますか?

 

そうです、これが孤独死の一番の問題です。

 

孤独死されたという時点で周りの人とのつながりが非常に薄かったことが想像できますが、どれだけの財産があるのか、借金があるのかどうか、そういった財産に関することを詳しく把握している人はおそらく誰もいないと考えられます。

 

だからこそ誰に聞くこともできず、財産状況が全くわからないことによって不安になり、最終的には相続する権利があっても相続放棄を検討されるのです。

 

孤独死で相続放棄を検討される理由で一番多いのがこのパターンかもしれません。

 

1-2.余計なことに巻き込まれたくない、関わりたくない

当センターにいただくご相談でも「関わりたくない」とおっしゃられる方はたくさんおられます。

 

孤独死によって遠い親族などの相続人になった場合、「そもそも生前からも付き合いもほとんどなかったし、特に財産があってもなくても面倒なことになったら困るから相続放棄をしよう」という考え方です。

 

この場合は相続放棄するかどうかという点で悩まれることはあまりないかもしれませんが、理由が「面倒なことになったら困るから」であったとすれば、相続放棄をしたからといって「面倒なことにならない」とは限らないことをご存知でしょうか

 

4-3章で詳しく解説しますので、どんなことが考えらえるのか不安な方はぜひそちらもご覧ください。

 

いずれにせよ、孤独死で相続放棄を考える理由の2つ目は「余計なことに巻き込まれたくない、関わりたくない」という想いが挙げられます。

 

1-3.死亡日からしばらく経っているので相続放棄の期限が心配

相続放棄の期間は3か月以内です。

 

通常は死亡日にその死亡の事実を知ることが多いですが、孤独死の場合はご自宅などで倒れているのを警察が発見し、検案や解剖の結果、死亡していた日が特定されるため、後から死亡の事実を知ることになります。

 

つまり、死亡日=孤独死の連絡を受けた日ではないということです。

 

孤独死した人が発見までにどれぐらい時間がかかったのかによりますが、当センターの経験からお伝えしますと、平均して数週間から1カ月程度経っている方が多いです。

遅い方でしたら半年以上前に亡くなっていて、つい先日発見されて警察から連絡があったという方もおられました。

 

もう一度お伝えしますが、相続放棄の期間は3か月です。

 

この情報は調べればすぐにわかりますので、それを見て期限が迫っていることを知り、急いで相続放棄を検討されるというのが孤独死の特有の理由です。

 

この心配には今ここで回答しておきますが、大丈夫です、ご安心ください

 

相続放棄の期間には「相続開始日」という点と、民法915条「自己のために相続の開始があったことを知った時」という点が大きく関係します。

 

詳しく知りたい方は、下記記事をご参照ください。

 

2.孤独死で相続放棄するか悩んだ時の判断基準

孤独死で相続放棄を検討する理由についてお伝えしましたが、理由がわかっただけでは前に進めません

本当に相続放棄すべきかどうかで悩んだ時、何を判断基準にすればよいのかについて、具体的な行動に移せる方法をご紹介します。

 

2-1.借金の形跡があるかどうか

絶対に相続放棄をした方がいいケース、それは明らかに借金が多い場合です。

 

  • 住宅ローン(団信の加入なし)
  • 消費者金融からの借り入れ
  • 銀行からの融資
  • 割賦販売の契約
  • 友人などからの借金

などがないか、まずは手掛かりを探しましょう。
(※団信とは、死亡によって住宅ローンがゼロになる住宅ローン特有の保険です)

 

警察から遺留品の引き渡しを受けた時、そこに通帳があればそういった支払いの履歴がないか確認しましょう。

 

それが見つかった場合も見つからなかった場合も一度自宅へ行き、手掛かりが遺されていないか探しましょう

ATMで返済した振込明細や督促状のハガキ、封筒に入った差し押さえの手紙など、雑然とした荷物の中に手掛かりが埋もれている場合もあります。

どれが手掛かりになるのかの判断が難しいかもしれませんが、気になるものは写真等に収め、後日専門家に見てもらってもよいと思います。

 

なかなか孤独死されたご自宅に行くのは気が引けるかもしれません。

しかし、手掛かりはやはりそこ(現場)にしかありません

 

どうしても行きたくない、怖い、不安という場合は当センターがカギをお預かりし、連携している遺品整理士と共に現地へ行って調査することも可能です。

ご希望の場合はお気軽におっしゃってください。

 

調査した結果、借金などマイナスの財産があるかどうかがわかれば、相続放棄するかどうかを判断しやすくなると思います。

 

2-2.不動産が持ち家かどうか

孤独死かどうかに関わらず、一般的にはどこかにご住所を持ち、そこを生活の拠点としていることがほとんどです。

(最近は生活スタイルの多様化で「アドレスホッパー」という特定の住所をもたない人もいるようですが)

 

要は自宅ですね。

孤独死された方がお住まいだったその自宅が賃貸物件なのか、それとも持ち家なのかを確認しましょう

 

確認の方法はいろいろありますが、賃貸物件の場合は賃料を支払っているはずです。

仮に未払いであってもその請求書は届いているはずです。

 

賃料の支払い履歴がない、請求書もない場合は、物件の住所をインターネットで検索し、賃貸業者のホームページが出てくるようであれば賃貸物件の可能性が高いです。

 

ここまで調べて賃貸の可能性が低そうであれば持ち家かもしれませんので、不動産の登記事項証明書を取得して所有者を確認しましょう。

 

不動産の登記事項証明書は法務局に行けば取得することができ、他人の物件であっても問題なく取得することができます。
(所有者が誰であるかを公にする書類ですので、当然誰もが取得できます)

 

登記事項証明書の所有者欄にその人の名前があれば持ち家ということがわかります。

反対に、所有者欄に別の人の名前があれば賃貸ということになります。

※建物だけ自分名義で土地は借地という可能性もありますので、土地建物両方の登記事項証明書を必ず確認するようにしましょう

 

持ち家かどうかを調べた理由は、たとえ預金などがなくてもその家自体が財産になるかもしれないからです。

 

立地、築年数、広さ、状態などによって売れるかどうかは異なりますが、もしそれが売れるならお金に変わるということですので、プラスの財産として計算することができます。

 

相続放棄をするかどうかの判断がプラスかマイナスかであれば、持ち家かどうかの確認は大きなポイントになります。

 

2-3.預貯金が少しでもあるかどうか

警察からの受け取った遺留品の中に通帳があれば、その残高を見ることでお金がどれだけ残っているかを知ることができます。

 

しかし、孤独死でよくあるのは既に繰越し済みの古い通帳しかなかったり、最新の通帳であってもしばらく記帳されていない場合が多いということです。

 

例えば1年前の日付で100万円の残高があったとしても、それが今現在残っているかどうかというと、わかりません。

それを知るために銀行に通帳を持って行っても、凍結している場合は確認ができません。

 

そんな時は銀行で残高証明書を請求することで、今現時点での残高を確認することができます

 

ただ、これも通帳を持って窓口で「残高証明書をください」というだけではもちろんダメです。

なぜなら、あなたが本当にその残高を知る権利がある人かどうかを証明する書類がないからです。

 

残高を知る権利はもちろん相続人にしかありません。

 

ですので、戸籍や原戸籍を取得して自分が相続人であることを証明することで、やっと残高証明書を取得することができるようになります。

 

孤独死という状況であれば故人と繋がりが薄かったのは当然ですが、家族関係としても遠い関係の場合が多いです。

 

親子の関係であれば比較的スムーズに必要な戸籍も集まりますが、叔父さんや叔母さんの相続人として手続きをするのであれば、それを証明する戸籍を集めるだけですごく大変な作業になります。

そして、その戸籍を集めている間も相続放棄の期間は進んでいます。

 

せっかく通帳が見つかったのに残高がわからない場合、専門家に調査を依頼するのも一つの方法ですので、相続放棄の期間、故人との関係なども考慮して検討するようにしましょう。

 

相続手続きに必要な戸籍について詳しく知りたい方は下記サイトで詳しく解説しています。

>>【戸籍謄本まるわかり】相続手続きに必要な戸籍をケース別に徹底解説(まごころ相続コンシェルジュ)

残高証明書の取得だけが目的の場合は相続人「全員」の確定は必要ではなく、故人と自分の繋がりが証明できれば取得できます。

 

3.孤独死で相続放棄するか悩んだ時にできること

確認や調査をしてみたものの、それでもやはり相続放棄するかどうかを決めることができないこともあると思います。

 

例えば

  • 不動産は持ち家だが、売れるかどうかがわからない場合
  • 借金はないが、預金もほとんどない場合

などです。

 

「安心という意味では相続放棄したい、でも他にも財産があるかもしれない…」という気持ちはすごくわかります。

 

そこで、自分は本当に相続放棄をした方がよいのかという点で悩んだときにできる方法を、先ほどの2章の判断基準よりもう一歩進んだ行動でご紹介します。

 

3-1.持ち家の場合はまず査定してみる

2-2章で持ち家かどうかの確認の方法はお伝えしました。

それによって持ち家であることがわかった場合、一度査定をしてみるのもオススメです。

 

査定をすること自体は財産を処分したり相続することを決めたことにならないので、信頼できる不動産業者を探して査定をしてみることで、そもそも売れる可能性があるのか、もし売れるならどれぐらいの金額になりそうなのかを知ることができます。

 

ここで一つポイントは、不動産業者にも様々な業者がいるということです。

 

例えば賃貸をメインにしている業者、売買をメインにしている業者などが大きな分類になりますが、今回のケースで言えば「孤独死」という特別な事情があります。

そのため、そういった物件の取り扱いに慣れている業者でないと、売却後に想像もしていなかったトラブルに発展してしまうこともあったり、孤独死ということを理由に相場よりも驚くほど安い金額で買取りされてしまったりすることもあります

 

ホームページの情報だけではなかなか信頼できる業者かどうかを見分けるのは難しいかもしれませんが、例えば当センターのような相続手続きを専門にしている国家資格者の事務所と連携している業者であれば、信頼できるところも比較的多いのではないかと思います。
(もちろん全てが信頼できるとは言えませんが)

 

また、最近はインターネットで「一括査定」のようなホームページもありますが、問い合わせをした後に営業の連絡がたくさん来たという話を聞いたこともありますので、その可能性も理解した上でご活用いただければと思います。
(※ご相談の際にお聞きした情報ですので、当方で直接問い合わせをして確認したわけではありません)

 

査定の結果、売れそうであったり、納得のできる査定額が出るようであれば、相続する方向で検討されるのも一つの方法だと思います。

 

不動産業者の選び方

手前ミソの話になりますが、当センターが連携する不動産業者はいわゆる「街の不動産屋」といったテナントで営業しているところではありません。

不動産総合事務所として、弁護士等から依頼を受けて査定書や報告書を作成しているところですので、継続的にそういった依頼が来ているということは、弁護士、さらに言うと裁判所からも一定の信頼を得ていることの証明になるかと思います。

 

3-2.限定承認:財産がプラスだった場合だけ相続する方法

今まで検討してきたのは

  • 相続する
  • 相続放棄する

のどちらかでしたが、実は孤独死の場合により便利な方法として、限定承認という方法があります

 

ここでは概要だけのご説明になりますが、限定承認とは「プラスの範囲でマイナスも相続する」という方法で、それは言い換えると、「プラスが多ければ相続し、マイナスが多ければそのマイナス(プラスを上回る分)は相続しない」という理想的な方法です。

 

なかなか文字だけでは分かりにくいので具体的な数字でご説明します。

 

【財産状況(未確定)】
・預金:100万円程
・借金:不明

限定承認の申立て

【財産状況(確定)】
・預金:80万円
・車:20万円(評価額)
・借金:300万円

プラス(80+20万円)を超えるマイナス分は相続しない

 

という結論になります。

(反対にプラスの方が多いことがわかれば、マイナスの分はもちろん清算し、その残りを相続することができます)

 

そんな便利な方法があるならぜひ限定承認をしよう!と思われるかもしれませんが、実はすごく大変です。

 

ざっと挙げると、

  • 相続人「全員」で手続きしなければならない
  • 家庭裁判所に申立てが必要
  • 限定承認から5日以内に官報に公告が必要
  • 相続財産清算人が必要な場合がある
  • 先買権を行使する場合は鑑定人の選任が必要
  • 換価できる財産があれば換価が必要

など、もうこの時点で何を言っているのか全くわからないという方もおられるかもしれませんが、それぐらいいろいろな手続きがあるということです。

 

ただ、そうは言っても「最悪の場合に借金を背負わなくて済む」という意味ではすごく便利な方法ですので、状況に応じてぜひご検討いただき、手続きは専門家に依頼するという方法でも良いかと思います。

 

3-3.相続放棄:いろいろ検討した上の最後の選択肢

いろいろ検討してきましたが、その上で最終的に相続放棄するということになれば、それはもう後悔もないでしょう。

 

相続放棄は一度手続きすると、原則として撤回や取消しはできません

 

ここまで検討したのでもう今から取消しを考えることもないかもしれませんが、ファイナルアンサーであることを理解して手続きを進めましょう

 

4.相続放棄をした場合に絶対に注意すべき3つのこと

相続放棄が終わると、借金を背負うリスクはなくなります。

安心ですね。

 

ではこれでもう自分は部外者、一切何も関係ない、面倒なことに巻き込まれることは絶対にないかというと、実はそうとは限らないのです。

 

知らずにしたことで大きなトラブルに発展したり、取り返しのつかない状況になってしまうこともあります。

 

相続放棄が終わって一息つかれる前に、必ず次の3項目は確認しておきましょう

 

4-1.孤独死した人の荷物を捨てないこと、持ち帰らないこと

孤独死のケースで特に多いのは、賃貸物件の貸主や管理会社から荷物の撤去を迫られるケースです。

 

当然貸している側としては、1日でも早く荷物を出して清掃してリフォームして新たな入居者を募集したいはずです。

また、荷物をそのままにしておくことで腐敗が進んだり悪臭や虫が発生したり、状況が悪化していくことは間違いありません。

 

そのため、貸主は相続人や関係者に対してとにかく早く荷物を片付けるよう迫ってくるはずですが、協力したい気持ちはあるものの、相続放棄をしたので自分は何もできないということをしっかり伝えましょう

 

相続放棄をする前、した後に関わらず、故人の荷物は絶対に捨てたり持ち帰ったりしてはいけません(相続放棄をするのであれば)

 

今までのお話の中で「処分」という言葉を使いましたが、財産を処分する行為は相続を承認したことと同じになります。

荷物を捨てるのはもちろん処分行為に該当しますので、絶対に捨てないようにしましょう。

 

また、持ち帰る行為も同じですので、「バレないだろう」という気持ちは捨てて、絶対に持ち帰らないようにしましょう。

 

それによって万が一相続放棄が無効になると、今までの全てが無駄になります

 

4-2.孤独死した人の契約を解約しないこと

4-1章とも関連することですが、賃貸物件にお住いだった場合は、貸主と故人との間で必ず賃貸借契約という契約が成立しているはずです。

 

今までに家を借りた経験がある方なら見たことがあるかもしれませんが、入居時には賃貸借契約書という書類にハンコを押したはずです。

 

その契約関係を終了させるため、貸主が相続人に対して必要な手続きをお願いしてくることがありますが、それも手続きしない方が懸命です。

なぜなら、契約を「終了させる」という行為も「処分行為」として考えられるからです。

 

契約が続くことで無駄な賃料が発生するため、少しでも早く解約したいと思われるかもしれませんが、未払いで積み重なっていく賃料についても相続放棄をすれば支払う必要はありません

 

貸主さんには申し訳ないかもしれませんが、相続放棄をするので協力できないということをはっきりと伝えるようにしましょう

 

4-3.相続放棄をしても管理責任が残ること

ご存知でない方が多いのが「管理責任」です。

 

「私は相続放棄をしたので一切関係ありません」と言われる方にお伝えしたいのですが、確かにプラスやマイナスの相続に関しては一切関係ないと言えますが、故人の荷物や判明している財産については、民法940条第1項に次のような規定があります

 

民法940条第1項
相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

 

少し難しい言葉ですが、要は自分が相続放棄をした後、次の順位(※)の相続人が相続財産の管理を始めるまでの間は、その故人の財産を自分の財産と同じように注意して管理しなさいという内容です。

※相続権は子→両親・祖父母→兄弟姉妹の順に移っていきます。

 

例えば子どもが相続放棄をした後で考えると、次の順位である両親・祖父母が自分が相続人であることを知り、故人の財産としてその荷物を管理するまでの間は、子どもはその財産を管理しなければなりません。

 

そういった意味では、自分が相続放棄をしたことは積極的に次の順位の人に伝えるべきかもしれませんね。
(伝えなければならないという義務はありませんが)

 

次の順位の相続人がいる場合はまだ連絡をすることで済みますが、一番最後の順位である兄弟姉妹が相続放棄をした後は大変です。

次の順位がおらず、相続人が誰もいなくなってしまった場合、相続財産清算人が選任されるまでの間はその義務があるからです。

 

相続放棄をする目的が「一切関わりたくない」「面倒なことに巻き込まれたくない」ということであれば、相続放棄をしてもこういった義務があるということを必ず知っておきましょう。

 

民法940条が改正されました(令和5年4月1日)

相続放棄後の財産の管理についての規定ですが、その管理義務の内容や要件がはっきりしないという点が問題視されていたため、下記の内容に改正されました。

改正民法940条第1項】
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第952条第1項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

ポイントは
その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているとき
財産を引き渡すまでの間
で、これで要件と期間が明確になり、相続放棄をした人が安心できる状況が明確にわかるようになりました。

 

5.まとめ

孤独死であっても、相続放棄の手続きや期間などは通常の相続放棄と全く同じです。

違うのは、孤独死だったために亡くなった人の状況が全く分からず、本当に相続放棄をした方がよいのかどうかがわからないという点です。

 

突然のことで戸惑い、落ち着いて判断することが難しい状況かもしれませんが、大きな判断基準として「借金」「預貯金」「持ち家」が重要になりますので、本記事を参考に調べてみていただければと思います。

 

なお、相続放棄は撤回や取消しができません(原則として)

 

いくら財産があってもどんな財産があっても相続するつもりはないということでしたら気にすることはないかもしれませんが、少しでもプラスなら相続したいとお考えの場合は、万が一の場合に借金を背負うことがないよう、限定承認など特殊な方法も視野に検討するようにしましょう。

 

相続する、相続放棄、限定承認のいずれにせよ期間があります
(相続放棄、限定承認のいずれの手続きもしなければ自動的に相続することになります)

 

孤独死という特別な状況だからこそ通常の期間では判断が難しいかもしれませんので、そういった時は迷わず専門家に一度相談してみることをオススメします。

 

当センターでは孤独死の相続手続きに精通しております。

ご自宅のカギをお預かりして書類の捜索から対応可能ですので、何から始めればよいのかわからないという場合もお気軽にご相談ください。

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この記事を執筆した専門家

この記事を執筆した専門家 嶋田 裕志
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

嶋田 裕志

Yuji Shimada

日本行政書士会連合会11260290号
大阪府行政書士会 第6071号
宅地建物取引士 第090938号
Twitter ( )

相続・遺言専門の行政書士として10年を超える実績。年間の相談対応件数は2,000件超え、行政書士の範囲だけでなく、相続税や不動産など相続に関する幅広い知識を持つ。全国各地を飛び回り、孤独死されたご自宅内での遺留品の捜索や不動産の売却のサポートまで対応。新聞、雑誌、WEBメディアなどの取材実績も多数。G1行政書士法人の代表。

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