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実際にあったご相談実例

実際にあったご相談実例

妻と二人で細々と生活していますが、先日、私が大腸がんと診断されました。早期発見でしたが、やはり万が一の場合に備え、妻がこの家で引き続き生活していけるように遺言書の作成を考えています。
しかし、なにぶん知識が全くないもので、何をどのようにすれば正しい遺言書が書けるのかわからず…
遺言書の全体的な概要について教えていただけませんでしょうか?

 

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遺言書の作成についてのご相談です。

 

 

最近はテレビで遺言書についてとり上げられる機会も多くなり、遺言書の必要性やその効力、書き方や種類までご存知の方も増えてきている印象です。

(当方にも遺言書のご相談や作成のご依頼が増えております)

 

 

 

しかし、皆様ご注意下さい。

 

遺言書が本当に効力を発するのは、「相続開始時」です。

いわゆる「お亡くなりになられた時」です。

 

それまで遺言書はただの紙切れです。

 

つまり、その効力が発生した時点では、自分では「本当にその遺言書で問題なかったか」を確認することができないということです。

 

 

 

また別の事例でご紹介させていただきますが、いざ相続が開始し、遺言書をもって家庭裁判所で所定の手続きを行い、その遺言書をもって金融機関に手続きに行かれたところ、

 

「この遺言書では当行では手続きできません。相続人全員の実印と印鑑証明書を揃え、所定の相続手続きを行ってください。」

 

と言われてしまい、当センターに駆け込んでこられたということがありました。

 

 

 

遺言書を受け取り、手続きに対応するかどうかの判断は各金融機関、各官庁に委ねられています。

もちろん法的な要件を100%満たしていれば当然対応してもらえると思いますが、ほんの数文字が欠けていただけで対応してもらえないということも本当にあり得ます

 

 

 

遺言書は何でもいいから書けばいいというものではありません。

それが反ってトラブルを招いてしまうこともありますので、ご自身で作成される場合は本当に本当にご注意下さいね。

 

 

 

・・・と、前置きが長くなってしまってすいません!

遺言書のご相談をいただく度に、過去にあったこういった出来事を思い出しますので、本題ではないところからお話してしまいました、申し訳ありません。

 

 

では、話を戻して遺言書全体の概要についてお話させていただきます。

 

 

目次【本記事の内容】

1 遺言書とは

2 自筆証書遺言と公正証書遺言
2-1 自筆証書遺言とは
2-2 公正証書遺言とは
2-3 実際のところ、どっちがいいの?
2-4 もう一つの遺言書「秘密証書遺言」

3 遺言書を作成したほうが良いケース
3-1 子供のいない夫婦
3-2 未成年の子供がいる
3-3 相続人に行方の分からない人がいる
3-4 子供たちの仲が悪く、協力していくとは思えない
3-5 前婚との間に子供がいる
3-6 財産の多くが不動産
3-7 内縁の妻にも財産を相続させてあげたい
3-8 自分の財産を特定の人に渡したい
3-9 家族に迷惑をかけたくない

4 まとめ

1 遺言書とは

 

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そもそも、遺言書とはどういうものなのでしょうか。

 

遺言書とは、民法967条によって定められた・・・

という固い言い回しは得意ではないので、フランクにお話させて下さい(笑)

 

 

当センターの考え方になりますが、遺言書とは、

残していく大切な人へのメッセージ

だと考えています。

 

 

ですので、

「不動産は長男、お金は妻と二男で折半、そして自動車は・・・」

などといった感じで、財産に関することしか書いてはいけないわけではありません。

 

 

 

「妻へ、いままで本当にありがとう」

「家族4人で仲良く、健康に気をつけて」

 

などなど、どんな内容でもいいんです。

今まで口に出して言えなかったこと、ちょっと恥ずかしいと思う内容でも全然いいんですよ。

 

 

 

「遺言書」なんて固く考えないでください。

家族へのお手紙、最期のお手紙です。

思ったこと、想いをそのまま文字にするだけでいいんです。

 

そう考えると、自然と筆が進みませんか?^^

 

 

 

そして、そのお手紙の中で、特定の要件を満たすことにより、自身が残した財産について、特定の人にあげたり、死後の手続きを任せたり、法律的な効力を発生させることができるのです。

(こちらがおまけのような書き方ですが、もちろんそれを目的に遺言書を作成するという方がほとんどです)

 

 

 

ではこの遺言書、その作り方によっていくつか形式があります。

そのうちでメインとなるのが

・自筆証書遺言

・公正証書遺言

ですので、それぞれの特徴を具体的にご説明させていただきますね。

 

 

 

2 自筆証書遺言と公正証書遺言

 

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なんだか難しそうな言葉ですが、それぞれもっとわかりやすくお伝えしますのでご安心下さい。

 

 

 

2-1 自筆証書遺言とは

 

文字通り「自筆」で作成する遺言書です。

あくまでも「自筆」であることが要件ですので、その「全文」を自分の手で書く必要があり、ご高齢の方には少し負担が大きいかもしれませんね。

 

 

しかし、この「全文」という要件が「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号。平成30年7月6日成立。)」によって一部緩和されました。

 

具体的には、平成31年1月13日以降に作成した遺言書に関しては、遺言書に添付する財産目録に限ってはパソコンで作成してもOKになりました。

 

「私の全財産を妻に相続させる」などと言った本旨の部分についてはやはり自筆が必須ですが、「別紙財産目録に記載の不動産を長男に相続させる」という場合の別紙にあたる部分はパソコンで入力し、印刷したものを使っても良いということです。

 

 

「それってそんなに重要?「不動産」って書けばそれで終わりじゃないの?」と思われるかもしれませんが、不動産の場合はその不動産を具体的に特定するため、登記簿謄本に記載の情報を書いておくのが一般的です。

 

 

例えば土地の場合、

・所在

・地番

・地目

・地積

・不動産番号(わかれば)

などを記載することになります。

 

建物の場合、

・所在

・家屋番号

・種類

・構造

・床面積

などを記載することになります。

 

マンションの場合は「一棟の建物の表示」や「専有部分の建物の表示」「敷地権の表示」など細かく分かれておりますので、それを一つずつ記載していくことになります。

 

 

こういった普段書き慣れない情報を手書きしたとき、どうしても間違えてしまうこともありますよね。

遺言書は鉛筆書き不可ですので、書き間違えた場合は紙をクシャクシャっと丸めてゴミ箱に…

 

もちろん訂正することも可能ですが、その訂正の方法を間違ってしまうと元も子もありませんので、やはり書き直しをせざるを得ないかと思います。

 

 

 

この作業を遺言者(一般的にはやはりご高齢になられてから作成させることが多いかと思いますが)が根気強く最後まで出来るかというと、やはり厳しいことも多いのではないでしょうか。

 

 

その救済措置として、今回の改正ということです。

それであれば本人でなくてもご家族の方が目録を作成し、ご本人がそれを見て確認するということで要件はクリアすることができますよね。

 

 

 

それから、法改正の部分のお話はこれぐらいにしておいて、そもそもの自筆遺言の要件として、大変重要なルールが3つあります

 

 

 

①全て自筆

すでにお伝えしました通り、添付する財産目録を除き、その全文を自筆で書かなければなりません。

 

 

②日付及び氏名の記入

日付のない遺言は無効です。

〇年〇月〇日という様に、きっちりと書かなければなりません。

よくある「吉日」などという言葉は不可です。

また、当然ながら名前の記入は必須です。

 

 

③押印

遺言書成立の要件として「実印」は求められていませんが、ご自身が書いたことを証する為、なるべく実印が好ましいとされています。

 

 

 

これらが、自筆証書遺言を作成するときの厳格なルールです。

 

 

日付がなかったり、印鑑を押印してなかったりすると、せっかく作成した遺言書が無効になってしまうこともあります。

 

「たかが印鑑がないだけで、そんなに厳しいことはないでしょ~」と思われるかもしれませんが、

当方ではそれで手続きを受け付けてもらえなかったケースを実際に何件も見てきました。

 

 

相続が開始してしまった後ではどうすることもできません。

たった1文字でも、後から勝手に付け足すことは絶対に禁止です。

もし遺言書に加筆した場合は「遺言書の変造」に該当し、遺言書を変造した相続人は相続欠格者となり、その相続人としての地位を失い、相続することができなくなってしまいます。

(民法891条に定められています)

 

 

自筆の遺言はそれだけ厳格で、それだけリスクも潜んでいるということです。

(改ざんなどのリスク以上に、無効と判断されてしまうリスクが大きいです)

 

 

 

では、上記のことに気を付けて作成すれば、相続開始後すぐに遺言書として機能を果たすのか(それを持って行けばいろいろな手続きができるのか)というと、実はそうではありません

 

 

自筆証書遺言は、

相続開始後、管轄の家庭裁判所にて検認の申立てをしなければ遺言書として使用できない

のです。

 

 

あまり聞き慣れない言葉かと思いますが、検認とは、相続人に対して遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、自筆証書遺言としての体裁が整っているか(厳格なルールに基づいて作成されているか)を家庭裁判所が確認する手続きです。

 

しかし、それはあくまでもルールに基づいて作成されているかどうかを確認するだけで、遺言書の内容そのものや、有効・無効を判断する手続きではありません

 

すでにお伝えしました通り、その遺言書で手続きができるかどうかは各金融機関などの判断に委ねられますので、その前段階として必ず行わなければならない手続きということです。

 

 

検認の方法、手続きの流れはこちらをご参考下さい。

直筆で書かれた遺言書(自筆証書遺言)が見つかった場合

 

 

 

いろいろと難しいことばかりお伝えしましたが、自筆証書遺言にももちろん良いところはあります!

 

それは、

・作成するのに費用が掛からない

・書き直すのが簡単にできる

・思い立ったら今すぐにでも作成できる

などが挙げられます。

 

 

「まだまだ元気で全然健康だけど、万が一に備えて念の為遺言書を書いておきたい」という方には手軽でオススメの方法かもしれませんね。

 

 

 

2-2 公正証書遺言とは

 

文字を見るだけでも何か厳格な遺言書のような気がしますよね。

文字通り「公正」であることを証する遺言書です。

 

 

こちらは前述の自筆証書遺言とは異なり、家で自分で書けば良いというものではありません。

作成するときは「公証役場」に行くことになります。

(「役場」という文字がくっついていますので市町村役場の中にあると思われるかもしれませんが、全く別の存在です)

日本公証人連合会のホームページ

 

 

おそらく今までその存在を知らなかったという人もたくさんおられると思いますが、調べてみると意外といろいろな場所にあります。

もちろん市区町村役場ほどの距離感ではないかもしれませんが、一度お近くの公証役場を調べてみて頂ければと思います。

こんなところにあったんだ~という発見があるかもしれませんね。

 

 

自筆証書遺言との大きな違いはそこですが、公証役場には公証人という人がいまして、遺言者は公証人に遺言の内容を伝え、それに基づいて公証人が遺言書を作成します。

 

つまり、

自分で書くのではなく、公証人が書く(作る)

ということです。

 

 

ご本人様が書くのは名前と押印のみで、それ以外は全て公証人が作ってくれます。

だからこそ、日付が抜けていて無効になる、などといったリスクがありません。

 

 

また、作成した遺言書は公正証書は公証役場で保管されますので、紛失・変造等の心配がありません。

これも大きな安心の一つですよね。

 

 

それから、先ほど「公証役場に行くことになります」とお伝えしましたが、足が悪くて現地まで行けない、入院中なので外出ができない、そういった方でも公正証書遺言が作成できるよう、公証役場にいる公証人に出張してもらうという方法もあります。

(もちろん出張費などは別途必要になりますが)

 

 

他にも、手が不自由で字が書けない人、目が見えない人、しゃべれない人、いろいろな方に対応できる方法がありますので、まずは一度ご相談されることをお勧め致します。

 

 

もう一点、これは遺言書の作成時点ではなく相続開始後の話になりますが、自筆証書遺言のように家庭裁判所での検認の申立てが不要です。

 

「検認が不要=相続の開始とともに遺言書としてすぐに使うことができる」ということです。

 

残されたご家族、相続人の方にとっては一つ大きなハードルが無くなるわけですので、これも大きなメリットかと思います。

 

 

 

いろいろと公正証書遺言の良いところをご案内しましたが、逆にデメリットしては、財産額に対して公証人の手数料等の費用が掛かります。

具体的な金額は日本公証人連合会のホームページに記載されていますので、そちらをご覧いただければと思います。

公正証書遺言を作成するのにかかる手数料等(日本公証人連合会)

 

 

また、公証人とのやり取りで期間もかかりますし、公証人ももちろん公正な書類として遺言書を作成するわけですので、遺言者が口で話した内容だけを頼りに作成するということは絶対にできません。

 

戸籍謄本を取ったり、住民票を取ったり、場合によっては財産を譲りたい人とのつながりがわかる戸籍が必要であったり、財産を証明する為に預金通帳のコピーが必要であったり、不動産に関しては登記簿謄本が必要であったり、とにかくいろいろな資料の提示を求められます。

 

それらを全部集め、公証人とのやり取りもスムーズに進めようと思うと、やはり専門家にサポートをご依頼された方が良いケースもあると思います。

その場合はその専門家への報酬も別途必要になります。

 

 

公正証書で遺言書を作成するとココがいい!逆にココがちょっと…

 

 

 

2-3 実際のところ、どっちがいいの??

 

自筆証書遺言と公正証書遺言について、それぞれ特徴などをご説明させていただきました。

(本当ならもっともっとお伝えしたいのですが、ここでは全体の概要ということですので端的にまとめました)

 

 

それぞれメリット・デメリットがあることはお分かりいただけたかと思いますが、では、実際のところどちらの遺言書を作れば良いのでしょうか?

 

比較しやすいよう簡単にまとめましたので、下記ご覧下さい。

 

 

 

自筆証書遺言と公正証書遺言のメリット・デメリット

 

【メリット】

■■自筆証書遺言■■

・簡単に作れる

・お金がかからない

■■公正証書遺言■■

・無効になりにくい

・検認が不要で、相続が開始すればすぐに使用できる

・公証役場で保管されるので、紛失や滅失の恐れがほとんどない

 

【デメリット】

■■自筆証書遺言■■

・無効になるリスクがある

・家庭裁判所で検認しなければならない

■■公正証書遺言■■

・作るのに費用が掛かる

・公証人との打合せなど時間と手間がかかる

 

 

どちらも一長一短ありますね。

これだけを見ているとなかなか決められないかもしれませんが、比較のポイントとしては、「遺言書を作る」という行為だけを基準に考えるのではなく、その作った遺言書で「どういった結果を望むのか」を第一にご検討されるのが良いのではないかと思います。

 

 

遺言は作って終わりではなく、実際に相続が開始した時、本当にその通りに実現できるかどうか、それが一番大切なことだと思います。

 

せっかく作ったのに無効になってしまった、それが反ってトラブルを招いてしまった、それでは何のために遺言書を作ったのかという話になってしまいますよね。

 

 

どのような遺言書を作成すれば、自分のメッセージが現実になるのか(なる可能性が高いのか)、お悩みの際は遠慮なくご相談いただければと思います。

遺言書の専門家が総合的な視点でアドバイスさせて頂きます。

 

 

 

ちなみに、実際にはどちらの遺言書の方が多いと思いますか?

自筆証書遺言と公正証書遺言、実際どちらがよく使われているのでしょう??

 

自筆証書遺言の検認数と、公正証書遺言の作成数を比べてみましょう。

 

 

【自筆証書遺言検認数

平成26年:16,843件

平成27年:16,888件

平成28年:17,205件

 

【公正証書遺言作成数

平成26年:104,490件

平成27年:110,778件

平成28年:105,350件

 

※家庭裁判所・日本公証人連合会HPより

 

 

 

公正証書遺言が圧倒的に多いですね!

 

 

・・・と思いそうですが、公正証書遺言は公証役場で作成しますので、作った数が正確にカウントできます

 

それに対して自筆証書遺言はチラシの裏面に書いても遺言書なわけですので、そのすべてがカウントされるわけではありません。

 

自筆証書遺言をカウントする方法、それは「家庭裁判所に持ち込まれた数=検認の件数」ですよね。

 

ですので、自筆証書遺言は表に出ない遺言書がもっともっとあると思っていただければと思います。

 

 

 

2-4 もう一つの遺言書「秘密証書遺言」

 

今までご説明させていただいた遺言書は

・自筆証書遺言

・公正証書遺言

でしたが、実はもう一つ、別の遺言書があるんです。

 

 

それが「秘密証書遺言」です。

 

 

そんな方法があるなら早く教えて!というご意見もあるかと思いますが、とっておきの方法なので出し惜しみをしたとかではなく、実際のところあまり使われていない方法なので今までご紹介しなかったんです。

それでもやはり法で定められた方法の一つではありますので、簡単にですがご紹介させていただきますね。

 

 

 

まず、なんとなくのイメージとしては、自筆証書遺言と公正証書遺言の間のようなイメージです。

おおまかな流れは下記の通りです。

 

 

遺言書そのものは自分で書きます(作ります)。

自筆証書遺言と同じく用紙やペンに制限はありませんが、自筆証書遺言のように「全文」を自筆にする必要はなく、「署名」だけ自筆であれば問題ありません

つまり、名前以外は全てパソコンで入力し、印刷してもOKということです。

そこにペンを持って、自分でサインするという形ですね。

 

 

ここが自筆証書遺言との大きな違いです。

尚、日付の入力(記入)、押印も必須ですので、そこはお間違えなく。

 

 

ではなぜこのような形式で良いかは、次にお伝え致しますね。

 

 

この出来上がった遺言書は封筒に入れ、しっかり封をし、遺言書に押印したものと同じ印鑑で封印しておきます。

その後、この完成した遺言書を持って公証役場へ行きます。

 

 

公証役場では、公正証書遺言のように遺言書の内容を伝えたりするわけではありませんが、自分が書いたものであること、氏名や住所などをはっきりと告げます

当然、他の人の遺言書を持って行ってもダメですよね。

 

 

それが確認できれば、公証人が提出日と申述内容を記載し、遺言者と証人がそれぞれ署名と押印をして、これで手続きが完了となります。

(証人については公正証書遺言でも同じですが、証人2名の立会いが必須となります)

 

 

「自分で作る→公証役場で完成させる」

この流れが自筆証書遺言と公正証書遺言の間のようなイメージということですね。

 

 

ただ、出来上がった遺言書は公証役場で保管されるわけではなく、あくまでも遺言書を作ったという記録だけが公証役場に残りますので、実際に相続が開始した際は自筆証書遺言と同じように家庭裁判所で検認を手続きをしなければなりません

 

 

つまり、作成時に公証役場に行く手間がかかり、相続開始時には家庭裁判所で検認をする手間がかかるということで、自筆と公正証書の両方の「手間」の部分を合わせてしまっている感じです。

その結果、あまり利用されていないということなんでしょうね。

 

 

一応お伝えさせていただきました!

もちろん遺言書としての効力は他の2つの遺言書として同じですので、ご希望の場合はお気軽におっしゃって下さいね。

 

 

 

3 遺言書を作成したほうが良いケース

 

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当センターでもたくさんの遺言書のお手伝いをさせていただく中で、どういった方がよく作られるのか、反対に、どういった状況の方が作った方が良いのか、そういったところが経験値から見えてきました。

 

もちろん個別の具体的な例を挙げることはできませんが、大きな枠組みとしてはお伝えできる部分もありますので、以下に列挙させていただきますね。

 

 

もし同じ境遇の方がおられましたら、ぜひ遺言書を作成しておくことをお勧め致します。

 

 

 

3-1 子供のいない夫婦

 

相続権、相続順位の話になりますが、お子様のおられないご夫婦の場合、配偶者はもちろん常に相続人になりますが、第一順位の子供がいないということで、第二順位のご両親が相続人になります。

 

配偶者とご両親、いわゆる義父・義母の関係ですね。

(嫁・姑パターンです^^;)

 

 

また、ご両親が先に他界されていた場合、祖父母が存命であれば祖父母が相続人となります。

 

配偶者と祖父母、いわゆる義祖父・義祖母の関係ですね。

ご存命の場合もかなりご高齢であることが想像できますので、なかなか遺産相続の話がしっかりできるかというと…

仮に認知症などになられていた場合はご自身で判断することができませんので、裁判所で成年後見人の手続きを経て相続手続きを進めることになります。

 

 

 

ここまでが第二順位の話ですが、では両親、祖父母が全員すでに他界していた場合、第三順位として兄弟姉妹が相続人になります。

 

配偶者と相手側の兄弟姉妹、いわゆる義理の兄弟姉妹の関係ですね。

すごく仲が良ければ特に問題ないかもしれませんが、何かしら不満を持っていたり、お盆と正月以外は顔を合わせることがないのであまりしっかり話をしたことがないという人も多いのではないでしょうか。

 

 

 

ご両親、祖父母、兄弟姉妹、いずれにしても全て「配偶者側の親族である」という点が大きなポイントかと思います。

残された側(配偶者)にとっては今後の生活もあるので、できるだけ多く相続したいとお考えかもしれません。

 

しかし、民法で決められた割合がありますので、相手側がそれを主張してきた場合はやはり法に則って分割しなければなりません。

 

 

これを回避してくれるのが遺言書です。

第二順位であるご両親、祖父母の場合は遺言書を書いておいても遺留分を請求される可能性がありますが、それでも遺言書がなければ法定割合通り、遺言書があれば主張されて初めて遺留分割合相当を渡すことになります。

 

第三順位である兄弟姉妹においては遺留分がありませんので、遺言書通りに財産を相続させることができます。

 

 

残していく相手(配偶者)のことを一番に想われるのであれば、お互いがお互いに全財産を相続させる旨の遺言書を作成しておくというのが一つの方法かと思います。

 

 

 

3-2 未成年の子供がいる

 

相続人の中に未成年の子供がいる場合、その未成年の子供は自分の意思で相続について判断をすることができません

(実際問題として状況や話の内容を理解しているかどうかではなく、法律行為ができるかどうかという点において)

 

 

この場合、通常であれば親権者が法定代理人として署名したりハンコを押すことで手続きをすると考えられますが、例えば父親が他界し、相続人が配偶者である母親と未成年の子供1人の計2人だった場合、母親も相続人であり、また未成年の子供も相続人という立場になります

 

 

ここで母親が親権者として未成年の子供に代理人になってしまうと、ハンコを押すのが母親と母親になりませんか?

 

そうです、一人二役のようなイメージです。

 

 

であれば、母親の意思で全てを決めることができ、母親が全部相続するという書類に勝手にハンコを押してしまうこともできるでしょう。

 

この関係を利益相反関係といい、一方を増やせば他方が減るという、いわゆるシーソーのような関係を自分自身で調整することができてしまうのです。

 

 

この状況を避けるためには、母親以外の人が子供の代理人として手続きに参加しなければなりません。

また、この代理人を選任してもらうには家庭裁判所による手続きが必要となり、決して一筋縄ではいかない複雑な手続きになってしまいます。

 

 

そこで効力を発揮するのが遺言書です。

遺言書には財産の分け方などを記載するのが一般的ですが、遺言書の内容を実現する人(遺言執行者)を記載し、指定することができます

 

この遺言執行者がいれば、未成年のお子様はもちろん、配偶者のハンコももらうことなく、遺言執行者の権限・職務として手続きを進めることが可能になります。

 

 

誰も自分が死ぬ時期を知ることはできませんが、万が一の際に困るのは残されたご家族ですので、お子様がまだ未成年のご家庭であれば、とりあえず遺言書を作成しておかれるというのも良いのではないかと思います

 

 

参考:配偶者(妻・夫)が死亡し、未成年の子供がいる場合の遺産相続手続き

 

 

 

3-3 相続人に行方の分からない人がいる

 

遺産を「誰が」「どれだけ」相続するかを決める話し合いを「遺産分割協議」と言いますが、その遺産分割協議や実際の相続手続きには、相続人全員の協力(実印や印鑑証明書)が必要となります。

 

 

ここでのポイントは相続人「全員」というところで、一人でも欠けてしまうと手続きが一切進まなくなってしまうということです。

 

 

法定相続人が「配偶者と子供」や「子供のみ」という一般的なご家庭であれば特に問題ないかもしれませんが、遠縁の甥姪が相続人であったり、前婚時の子供や孫が相続人であったりすると、連絡先が全くわからないということもあるかと思います。

 

それ以外でも、ケンカをして飛び出したり、勘当されてしまってその後は一切連絡を取っていないなど…

 

 

連絡先がわからない、どこに住んでいるかわからないなど、行方不明とはいわずとも音信不通という方は意外と身近におられるのではないでしょうか?

(私自身、いとこ全員の連絡先を知っているかというと、やはりわからないですね…)

 

 

連絡を取って遺産分割協議をしなければならないのはもちろん法定相続人のみですが、その中に一人でも連絡先のわからない人がいると全ての手続きが止まってしまい、凍結した預金口座の手続きができず、さしあたって必要となる葬儀費用や当面の生活費を受け取ることができずに困ったというケースもよく耳にします。

 

 

こういった場合には遺言書、そして遺言執行者の指定が非常に効力を発揮します。

遺言執行者については上記「3-2 未成年の子供がいる」を参照下さい

 

それさえあれば、行方不明の人を探すことなく、遺言執行者の権限で手続きを進めていくことができますよね。

 

 

今、ご自身の法定相続人が誰になるかを考え、全員と連絡が取れる状況かどうかを確認してみて下さいね。

 

 

 

3-4 子供たちの仲が悪く、協力していくとは思えない

 

子供に限らず、相続人同士が普段から付き合いがなかったり仲が悪かったりすると、相続手続きが進まなくなります。

遺産分割協議、相続手続きは相続人「全員」の合意と協力でしたよね。

 

そもそもの話し合いができないというケースももちろんですが、話し合いをしてもすぐにケンカになってしまって合意に至らないというケースも考えられます。

 

 

そういった状況であれば、たとえ遺産分割が法定割合(2分の1とか3分の1とか、民法によって定められた割合)通りであったとしても、遺言書の中にその旨を記載し、遺言執行者の指定をしておくことで、わざわざ話し合いをすることなく手続きを進めて行くことができます

 

 

「法定割合通りで分けるから遺言書はいらない」と思われるかもしれませんが、法定割合通りであったとしても相続手続きの際は遺産分割協議書への署名押印や印鑑証明書の提出等が必要になりますので、そういった意味で遺言書を活用するというのは非常に効果的かと思います。

 

 

相続人同士の仲が悪いケースでは協議が出来なかったり話が進まないという状況よりも、揉めてしまって調停や訴訟に発展してしまうケースも十分に考えられますので、それを避けるためにも遺言書を作成された方が良いかと思います。

 

 

一度崩壊してしまった家族関係を修復するのは並大抵のことではないと思いますよ。。。

 

 

 

3-5 前妻(夫)との間に子供がいる

 

別れた元夫、元妻に相続権はありません。

民法上、相続権が発生するのは戸籍上の「配偶者」であり、離婚した時点で配偶者ではなくなるからです。

 

 

ただ、その元配偶者との間に子供がいた場合、その子供は親の離婚に関わらず相続人になります

親の婚姻関係が終了しても、子供にとって実の親であることに変わりはないですもんね。

 

 

元妻との間に子供が2人(AさんとBさん)。

その後再婚をして子供が1人(Cさん)。

この状況で相続が開始すると、相続人は妻(再婚相手)とAさんとBさんとCさんの4人です。

この時の相続割合ですが、配偶者は2分の1、子供は全員6分の1で均等です。

 

 

さて、離婚したときにAさんとBさんは元妻の方について行ったとすると、相続が開始する時まで全く連絡を取っていなかったというケースもあるでしょう。

もしかすると、子供がいることを隠して再婚しているというケースもあるかもしれませんね。

(戸籍を辿ればその存在はすぐにわかりますが)

 

 

すでに何度もお伝えしておりますが、遺産分割協議や相続手続きは相続人「全員」の協力が不可欠です。

法定割合通り相続する場合であってもそれは必要になります。

 

 

また、このような家族関係(相続関係)であれば、再婚相手とその子供にご自宅を残してあげたいとお考えの方もおられると思います。

しかし遺言書による指定がなければ、AさんとBさんは父親の財産の「全て」に対して6分の1の相続権を持っていますので、預貯金次第では不動産を処分して相続分相当の金銭を渡さなければならなくなるかもしれません。

 

 

元妻とその子供AB、再婚相手とその子供C、全員が連絡を取れる状況で関係も良好というケースももちろんあり得ると思いますが、それでもやはりいざ相続が開始した際にそれぞれがどういった主張をされるかはわかりませんよね。

 

 

遺言書を作成し、誰が何を相続するか、またその手続きをする遺言執行者を指定しておくことでトラブルになる可能性が圧倒的に低くなりますし、また全員が協力して手続きを進めて行くという必要がなくなりますので、スムーズに相続を終えることができると思います。

 

 

今回の例ではご主人が再婚というケースでお伝えしましたが、もちろんその反対もありますよね。

ご自身のケースに当てはめて一度考えてみて下さい。

 

 

 

3-6 財産の多くが不動産

 

相続財産は4,000万円の不動産と預貯金100万円。

さて、どう分けましょうか?

 

 

相続人が配偶者と子供であれば、このような状況でもまだスムーズに話がまとまりやすいかもしれませんが、先ほどのような再婚のケースや兄弟姉妹が相続人になるケースでは、特定の誰かが不動産をもらってしまうとかなり不公平感が出てしまいます

 

となると、それを遺産分割協議で決めましょうといっても話がまとまらないということは十分に考えられそうですよね。

 

 

そこで、遺言書の中で誰が不動産を相続するかを明記しておくことで、その通りに相続することができます。

今後も引き続きその不動産に住んで生活していく人にとっては非常にありがたいことですし、むしろ「必ず遺言書を作っておいて」という感じですよね。

 

 

ただし、この場合は「遺留分」についても生前に検討しておく必要があります。

参考:遺留分請求の流れを教えて下さい

参考:遺留分の請求は現金のみでしょうか?

 

 

遺留分を請求された場合、当然それを拒むことはできません。

民法で定められた法定相続人に対する最低限の相続分ですので。

 

 

では預金の100万円を渡すことでそれがクリアできるかというと、足りない可能性が高いと思われます。

(相続人の数や相続関係によって遺留分割合は異なりますが、これだけ金額に差があると…)

 

 

となると、ご自身の預金から支払うか、それが足りないのであれば結局その不動産を現金化し、そこから渡すしか方法がなくなってしまいます。

 

 

自分が亡くなった後も引き続き不動産に済ませてあげたい、その一心で遺言書を作成することはもちろん良いことなのですが、万が一の遺留分請求のことまで想定して準備しておかないと、結局想いが実現できないということになりかねません

 

 

遺言書を作る場合はそういったところまで含めてしっかり検討する必要がありますので、やはり専門家にご相談されることをお勧め致します。

 

 

作ることが目的ではなく、想いを実現することが目的です。

 

遺言書を作るのは、その目的を達成するための一つの手段でしかないですので、お間違えなく。

 

 

 

3-7 内縁の妻にも財産を相続させてあげたい

 

次の「3-8 自分の財産を特定の人に渡したい」とも関連する内容になりますが、「法定相続人ではない人」に財産を譲りたいと思った場合、遺言書を作成する必要があります。

(他にも死因贈与契約などもありますが、ここでは遺言についてお話しています)

 

 

「内縁」という関係はもちろん皆様ご存知だと思いますが、婚姻届を出していないが実質的に”夫婦”として生活している関係ですね。

 

共に生活をしているという意味では”夫婦”として認められそうな気がしますが、それを夫婦として認めて相続権を発生させてしまうと、実際問題としてどこまで一緒に生活をしていれば夫婦として認めるのか、例えば何年間同棲しているとか住民票の住所が同じとか、夫婦かどうかの具体的な線引きが非常に難しくなり、間違いなくトラブルが発生することが目に見えています。

 

 

ですので、民法では「婚姻関係にある配偶者」に対して相続権を認めているのです。

 

 

しかし、多様化した現代では様々な理由で結婚しない人、結婚したくない人、結婚できない人などがおられます。

そういった場合にパートナーに対して一切財産を譲ることができないかというと、遺言書の中に記載することで実現可能となります。

 

 

当然、その場合は「私の妻」や「私の夫」と書くのではなく、名前と生年月日などで具体的に特定しておきましょう。

同姓同名、同じ誕生日の人もおられるかもしれませんので、住民票や戸籍を添付し、必ずその人であるという特定は当然必要ですね。

 

 

 

 

3-8 自分の財産を特定の人に渡したい

 

よくあるケースが、「子供の配偶者」へ財産を譲りたいというケースです。

 

例えば息子が3人いたとして、自分の身の回りの世話をずっとしてくれた長男の妻に少しでも渡してあげたいなど、相続人ではない人に財産をあげたいときは遺言書が必要となります。

(相続開始前に財産を譲ると「贈与」になり、贈与税の対象となります)

 

 

それ以外でも、

・田や畑を今貸している人に譲ってあげたい

・田舎の土地は近くにいる親戚に譲ってあげたい

・寄付をしたい

・相続人ではない兄弟にも少し財産を譲りたい

などというケースが挙げられるかと思います。

 

 

相続が開始してしまった後では、こういった想いを実現することはできません。

もしそれを実現しようとするなら、一旦相続人の誰かが相続し、その後で贈与という流れで譲らなければならず、もちろん贈与税のことも考えなければなりません

 

 

今だからこそいろいろな選択肢があります。

自分の財産をどのようにしたいのか、改めて考えてみて下さいね。

 

もし相続人ではない誰かに譲ろうと思った場合は、できるだけ早く遺言書を作成しておきましょう。

いつ何があるかわからない時代です。

遺言書があるかないかで状況が全く変わりますよ。

 

 

 

3-9 家族に迷惑をかけたくない

 

既に何度かお伝えしておりますが、遺言書を作ることの大きなメリットは、遺言執行者を指定できるということです。

遺言執行者については上記「3-2 未成年の子供がいる」を参照下さい

 

 

たとえ分け方が民法の規定通りであったとしても、銀行口座の解約や不動産の名義変更を行うに際して、相続人「全員」の印鑑証明書や実印を押印した遺産分割協議書が必要になります。

 

もしも相続人が5人だった場合、5人「全員」の印鑑証明書と実印の押印が必要になります。

もしも10人だったら…

考えただけでも気が遠くなりますよね汗

 

 

しかし、遺言執行者を指定しておくことで、その遺言執行者の権限で相続手続きを進めていくことができます

すごく便利です。

 

 

相続人が多数の場合はもちろんですが、たとえ相続人が2人や3人であっても遺言執行者を指定しておくだけで残された相続人へのご負担は大幅に軽減できます

 

ご家族のこと、大切な人のことを想うのではあれば、ぜひ指定しておきましょう。

 

 

 

4 まとめ

 

かなりたくさんのことをお話してしまいましたが、遺言書は本当に奥が深いです。

人生は十人十色、だからこそ人生の最後である相続もひとりひとり全く違うものになります。

 

その中で、残していく大切な方たちへ向けて、ご自身の思いをカタチにするのが遺言書です。

 

 

遺言書があるのかないのか、それだけで本当に状況が全然変わります。

相続人ではない人が財産を受け取れるんですから。

自分の想い通りに財産を譲り渡すことができるのですから。

 

 

【参考記事】

遺産分割協議が終わった後に遺言書が見つかりました

遺言書の中にあった「持戻しの免除」って何?

お互い再婚同士で結婚!遺言書を作った方が良いですか?

「相続させる」と「遺贈する」で大きな違い!正しい遺言書の書き方

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