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実際にあったご相談実例

実際にあったご相談実例

私は同性愛者です。生活を共にしていたパートナーがガンを宣告されました。もちろん戸籍上の婚姻関係はありませんが、独りで生活をしていくには少しでも財産を相続できないと厳しいです。私が相続人になることはできるのでしょうか?

本件ご相談に回答するにあたり、まず初めにお伝えしておきたいことがございます。

 

異性であれ同性であれ、自分以外の誰かと生活を供にするということは、そこにあるのは当然「愛情」だと思います。

そういった形にできない感情、気持ち、想い対して「民法」という杓子定規の解釈をお伝えしなければならないことは非常に心苦しい限りですが、「相続」という手続きを行う上ではそれに従うしかないのが現状ですので、決して冷たい言い方だと受け止めずお読みいただけますと幸いです。

 

当センターでは出来る限りその想いにお応えできるよう、「民法」という決まりの中ではございますが、出来る限りのアドバイス、お手伝いをさせていただきたいと考えております。

 

 

それでは、本題に入ります。

 

パートナーとしてご一緒に生活されているとのことですが、特段何か変わった手続きをされていない(ただ一緒に生活をしている)という状況であれば、残念ですが相続権はありません

つまり、パートナーがお亡くなりになられた後は、1円も相続する事ができないということになります。

 

それどころか、例えば生活の為に死亡日以降にいくらか引き出しをされた場合、もしくは死亡前に生前贈与を受けていた場合などは、民法上の相続人からその行為について指摘が入り、大問題になってしまうかもしれません。

(要は、相続人ではない第三者が財産に手をつけたという状況です)

 

 

近年、テレビなどで耳にすることの多い同性愛の方のご相談ですが、相続の分野でもこのような相談をいただくようになりました。

 

世界には同性結婚を認めている国が約20ヶ国ありますが、残念ながら日本ではまだ法律上認められていません。

したがって婚姻により同一の戸籍に入ることができない、 つまり配偶者とはみなされず、パートナーに相続が開始した場合、いくら実生活を共にしていたとしても相続権は発生しません。内縁関係と似ていますね。

 

ここまでお読みいただくと相続権を発生させる(財産を受け取る)ことは絶対的に不可能にも思えますが、「婚姻」以外の他の方法を使うことで財産を受け取ることが可能になります。

 

それは・・・

「養子縁組をする」、または「遺言書を作成する」ことです!

 

 

①養子縁組をする

養子縁組ってパートナーと?と不思議に思われるかもしれません。

養子縁組とは字の通り、「子として扶養してもらうために血縁関係を組む」という意味合いの行為です。

民法では以下のように定められています。

 

<民法第792条>
成年に達した者は、養子をすることができる。

年齢要件ですね。成年になるまでは養子をすることができません。

自分自身がまだ未熟な状態では養う事が難しいという見解でしょうか。

 

<民法第793条>
尊属又は年長者は、これを養子とすることができない。

年下の人が年上の人を養子にできないということです。

文字通り「子」になるわけですので。

 

<民法第809条>
養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。

嫡出子(ちゃくしゅつし)という難しい言葉が出てきましたが、特に気にしていただく必要はありません。

大きな枠組みで言えば「子」です。

 

<民法第810条>
養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。

養子になった方は名字が変わります、ということです。

 

 

以上、養子に関する条文をいくつか抜粋致しました。

 

直接的に相続のことを記載した条項ではありませんが、809条では「子」になる旨が記載されておりますので、年長者の方を養親とし、もう一方を養子として養子縁組をすることで、戸籍上は「親子関係」が成立します。

それにより、相続においては被相続人から見て子としての相続権が発生することになります。

 

実際に相続が発生した場合の法定相続分は、実子であっても養子縁組であっても「子」であることに変わりありませんので、配偶者がいた場合は子供は1/2、配偶者がいなければ子が全てです。

 

このように「親子」という関係になることで相続権を発生させることは可能ですが、年齢要件、名字の変更、年長者を「子」にすることができないなど、いくつかハードルがあることは確かです。

パートナーが「親子」になるというところでもやはり違和感を感じる方も少なくないと思います。

 

そこで、養子縁組以外で財産を譲り渡す方法として「遺言書の作成」があります。

 

 

②「遺言書の作成」

ご存知のことと思いますが、遺言とは、生前に自身の財産について意思表示を書面に記すことです。

例えば「長男に自宅を相続させる、次男には預金を相続させる」という感じですね。

 

では、遺言書には3つの種類があることをご存知ですか?

詳細はこちらの記事をご参照ください。

自筆証書遺言の書き方は?注意すべきことは?

公正証書で遺言書を作成するとココがいい!逆にココがちょっと…

 

いずれの形式であっても遺言書としての効力は同じですので、パートナーの方からご相談者様に財産を譲る旨の遺言書を書いてもらう事ができれば、受遺者として相続財産を受け取ることが可能になります。

 

どこか役所に書類を出すわけでもなく、自筆証書遺言であれば自宅で一人で作成することも可能ですので、養子縁組をするよりも少しハードルが低いような気もしますよね。

 

 

ただ、ここで一つ注意!

 

遺言書を作成した場合は、法定相続人から「遺留分滅殺請求」をされる可能性があることは留意しておかなければなりません。

(参考記事)

遺言書による「遺贈」と養子縁組による「相続」、どちらがオススメ?

 

 

パートナーの方の家族関係をお伺いしたところ、婚姻歴はなし、お父様はすでにお亡くなりになられており、お母様がご存命とのことでしたので、法定相続人としてお母様1名が該当します(現時点では)。

お母様の遺留分は相続財産の1/3になりますので、仮に請求をされた場合は渡さなければならない旨をお伝え致しました。

 

 

では、養子縁組と遺言書の両方可能な場合、どちらを選択すればよいのでしょうか

答えは、家族関係等によって異なりますので、やはり一概に申し上げることは難しいと思われます。

 

 

言葉が適当ではないかもしれませんが、何も対策をしなければ一切財産が受け取れないのが今回のご相談です。

知識があるかないか、お互いのことを先の先までずっと考えているかどうかで結果は大きく異なります。

 

当センターでは、どなたからのご相談でも100%の知識と想いで回答やアドバイスをさせていただきますので、躊躇わず、億劫にならずにお気軽にご相談下さいね。

 

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